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3.
夏休みの真ん中らへんにみんなで花火大会へ行った時、あまりの人の多さに何人かごとに逸れたけど隣に麻美ちゃんが居て、最後は２人で会場から少し離れた所で真っ暗な空に光る色とりどりの花火を見てた。
「こんな場所よー知ってんな？」
終盤に打ちあがる連発の花火を見ながら、麻美ちゃんに尋ねる。
人混みが凄かった会場からほんの少し離れただけで、人気のない高台があるなんて知らなかったから、麻美ちゃんにつられるまま辿り着いたけど、その道中はきっとこの場所を知ってるような歩き方だった。
「うん。・・・去年来た時見つけてん。・・・・でも、みんなに教えたらいっぱいなるし内緒にしててん」
そう言いながら目を細めて少し向こうの花火を見上げる麻美ちゃんを見ると、俺の視線に気付いた麻美ちゃんがゆっくりこっちを向く。
「やから・・・こたちゃんと私の秘密な？」
好きな子にこんな事言われたら普通の男は勘違いすると思う。
俺も普通に勘違いする。
だけど・・・。
「・・・・去年一緒に来た人は？・・・その人も知ってるやん？」
本当は勘違いして、２人の秘密な？って同意したかったけど、どうしてもそれはできなかった。
きっと俺が同意しても、麻美ちゃんの心の中には俺以外の人を浮かべてる気がしたから。
西村くんに花火大会行こうって誘われた時、去年も皆で行った時の話を莉子ちゃんとしていて、途中で麻美ちゃんともう一人の友達と逸れた話をしてたから、きっとこの場所は彼女が忘れられない人との思い出の場所なんだろうと、花火を見上げる麻美ちゃんの哀しそうな表情を見てそう思ってた。
俺の言葉に麻美ちゃんが少し目を見開いたから、西村くんが去年の花火大会の話をしてくれたと告げると「あー・・・そうやねん。去年も逸れて友達がここ見つけてくれたんやけど・・・・もうその友達とここに来る事ないから・・・」
髪を耳に掛けながら伏し目がちに呟く麻美ちゃんのその仕草が胸に刺さって痛かったから「じゃあ遠慮なく俺の特別の場所にするわ」って、何も気にしてない風にそう言うと「・・・・うん。そうして？」って無理矢理作った笑顔を見せてくれたけど、その表情をどうしたら本当の自然な笑顔にできるんだろうって、そんな事考えるけど、今もまだ俺らの距離は仲の良い友達のままだし、そんな風に誰かを思い出してまだ切なくなる彼女との距離を詰めて良いものかやっぱり迷ってしまう。
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作者名：あお | 作成日時：2024年2月5日 16時
