明日の君に、僕ができる小さなこと (ページ1)

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人から優しいってよく言われるけど、優しくしようって思って優しくしてるからそりゃそうだ。
優しいって思われたいからしてるのと、優しくしようって思うからするのって、似てるようで違うと思う。

だけど、本当の優しさって、どういう事なんだろうってふと考える。
自分以外の誰かに何かしてあげたいって思う気持ちが優しさなんだろうか。

誰にでも優しいって、本当は優しくないって何かのドラマで言ってたけど、どういう事なのか、俺にはまだよくわからない。

でも、俺の思う優しさで君が笑っててくれるなら、本当の優しさなんて知らなくてもいいって思うんだ。
俺の願いは、俺の隣で明日も君が笑ってくれたらいいなって、それだけなんだ。

～明日の君に、僕ができる小さなこと～

良い人そう、優しそう、気が弱そう、何にも考えてなさそう。
俺がよく言われる、俺の印象。

別に間違ってない。

でも別に陰キャでもないし、根暗でもない。
多分、どこにでもいる本当に普通の大学生だと思う。

自分のタイプの可愛い子に目が行くなんて男なら普通の事だと思うし、つい目で追っちゃうし、話せたり仲良くなっちゃったりしたら、やっぱ気になる。

自転車で通える地元の高校を卒業した俺は、片道一時間電車に揺られて通学する大学に入学して、友達も環境も一から作る中で出会ったのが麻美ちゃん。

付属高校のある大学に入学したもんだから、入学式から既に何人かで固まってるのを見ていると、誰が内部生で外部生かだいたいわかる。
俺だけが１人でいたら流石に気まずいけど、1人行動してる外部生は沢山居るし、案外1人は嫌いじゃないから、満開に咲き誇ってる桜をぼんやり見ながら学生ホールを目指していた。

満開の桜があまりに空に溶けそうな薄いピンクで綺麗だったから見とれながら歩いてると急に強い風が吹いて、桜の木が大げさに揺れて、はらはらと沢山の花びらが舞って何枚も俺の肩に落ちていく。
見えないけど頭にも乗ってそうで、両手で頭と肩を掃うとやっぱり何枚かの花びらが落ちていった。

不意に誰かに後ろから肩をそっと叩かれ振り向くと「まだ頭に乗ってますよ？」って言いながら華奢な手が俺の頭に触れた。
その仕草を目で追いながら「あ・・すいません」って呟くと「風・・・凄かったね？」そう言って、ふわっと笑う女性と目が合った俺の心は少しキュッて締まる感じがして、ベタだけど可愛いなって、単純にそう思った。

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