憂鬱な僕２ (ページ8)

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2人だけの特別な名前の無い関係。

それが崩れる時、ただの幼馴染にも友達にも恋人にもなれないくらいの、憂鬱でしかなかった俺達の関係。

そんな事を考えるようになってからは、自分の行動をもう後悔しないようになっていて、あれだけ痛かった胸の痛みも虚しさでいっぱいだった虚無感も少しづつ薄れていった。

俺らの少女漫画のような設定はあくまでも設定だけだった。

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紗綾と付き合うようになってから、自分は思ってたより紗綾の事が好きだったんだって知った。
だけど、人を好きになるのって、なろうと思ってなるもんじゃないし、きっと俺はそういう意味で最初から紗綾の事好きだったんだろうなって、知らずに蓋をしていた自分の気持ちに向き合うと、人って自分の感情とは違う所でたくさんのストッパーがあって、俺は最初から振り向いてもらえないと決めつけて好きにならないようにしていたんだなって、なんとなくそう思った。

そう思うのと同時に、人間って面倒くさいなって思った。

風雅が紗綾の事をどう思っているかは風雅にしかわからないし、俺と紗綾が付き合っているのを知っても取り返しに来る気もなさそうだし、元々二人は付き合っていたわけじゃないから取り返すも何もないけど、周りは二人を特別な関係だって思ってたし、こんな簡単に2人の関係が切れるなんて思わなかったから。

紗綾は俺と付き合っても何も変わらない。

風雅にしかない気持ちがあると言っていたけど、同じような気持ちを俺にも持ってると言っていた紗綾の心の中も他人の俺にわかるわけない。
今まで付き合ってきた女の子に感じた俺への気持ちに似たものを紗綾からあまり感じないし、本当に俺の事好きなのかも正直疑問だけど、友達だった時より身近に感じるし、そういう意味では俺の事を特別に想ってるのがなんとなくわかる。

付き合うって決まった気持ちじゃなくても良い。
こういう好きじゃないと好きじゃないとか、これが恋愛感情の好きだとか、そんなん人それぞれだって俺も紗綾も思うから。

だからこうして紗綾と付き合っているけど、本心を言えば、紗綾はまだ風雅の事が好きなんじゃないかってずっと気にしてる。
付き合う前からわかってた事だけど、この猜疑心はきっと紗綾がどんなに俺に気持ちを伝えてくれたとしても消えないんだろうなって。

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