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「わかってる風ちゃうよ?・・・私が感じた事を聞いただけやで?違ったら違うって言うてくれたら良いし・・・そうやって知っていくもんちゃうん?」






この会話のやり取りは結構刺さった。


俺が面倒くさそうにダルいとか言うと、大体の女は俺の機嫌が悪くなったと勘違いして謝ってくるし、謝られると俺も元々機嫌なんて悪くなかったのに悪い事言ったかなって気にしてた。
そんな風なやり取りになってしまうと、お互いが相手に気使って会話するようになって、本当に聞きたい事も知りたい事もいつの間にか聞けない関係になってしまって終わってた。


長続きする女だったり、ちゃんと付き合う女は、大体が俺のタイプだったからとか、深い会話しなくても一緒に居て楽しい子で、なんだか上っ面の俺を見て好きになるような女ばっかだった気がする。
だって全然俺って人間を見せてないのに、こんなに好きになったの初めてとか言われても、へーとしか思わないし、俺も相手に対してたいして興味を持つ事もなかった。









「・・・誤解されやすいってのは・・・そうかも」

ぽそっと呟くと萌は俺をジッと見つめながら「よくよく聞いてたら優しい事言ってんのにね?」なんて言いながら緩く笑う顔はどこか紗綾に見えて、そう言えば顔と雰囲気が紗綾になんとなく似ていたから興味を持ったことをぼんやり思い出した。





思えば紗綾とはこんな話した事無くて、産まれた時からずっと一緒だったから言わなくても聞かなくてもお互いの事はわかってる気がしていた。
根本的なとこはずっと変わってなかったかもしれないけれど、紗綾が何を考えて感じているかとか、俺が何を思って感じているかなんて、知らずに終わってしまったんだな。

聞くのが怖かったり、恥ずかしかったり、今更って思う事ばかりで、全部紗綾のせいにして言い逃げして。





紗綾のほんまの気持ち聞かんで良いねんな?って、最後斗亜が聞いてくれたのに、わかったふりして一方的に終わらせたくせに、今更後悔して胸が苦しくなるなんて、どんだけ自分がくだらない人間なんだろうって泣きたくなった。




「・俺、あんたと付き合えへん。・・・・・・ごめん」







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作者名:あお | 作成日時:2024年1月9日 17時

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