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多分、初めて紗綾に自分の本心を飾らずに言えた気がして、なんでか胸が詰まる。
俺の心の声を初めて聞いたのは紗綾も同じで、やっと泣き止んでたのにまた紗綾の目から涙が零れる。





「・・・俺別に泣かすために言うてんのちゃうで?やし・・泣かんといて?」
「ごめん・・・でも・・・風雅の言うてる事・・・わかる。・・・私も風雅の事めっちゃ好きやねん。そんでほんまに大事やねん。・・・・斗亜の事も大事やけど・・・違うねん」





この言葉にできひん気持ち、何て言うんやろ?





そう口にする、紗綾の言ってる事が俺には多分正確にわかって、でもそれに当てはまる言葉が無いことも随分前からわかってる。


「うん。大丈夫やで?・・・・当てはまる言葉無いけど・・・・俺が思ってる気持ちと紗綾のそれは多分一緒やと思うから。・・・・・多分、俺らしかわからんやつや」









両想いだけど、それだけ。
しかもその想いも恋愛のようで恋愛じゃない。
世間の幼馴染でも友達でも家族でもない、俺と紗綾だけの気持ち。








「・・・頑張って言葉にしたら・・・こんな感じ?」


泣いたままの紗綾が首を縦に振って頷いたと思ったら俺の胸に飛び込んできて、俺はそのまま紗綾を強く抱きしめた。

そこには斗亜や萌に悪いとか、そんなん無くて、ただ抱き合いたかった。





生まれ落ちた日から、ずっと一緒に居た。
だから、お互いを大事に想う気持ちはきっと変わらない。

変えれない。








だけど、俺は俺で誰かを好きになるし、紗綾は紗綾で誰かを好きになる。
俺達はそれぞれの人生があって、それぞれの日々があるけど、ようやくたどり着いた俺達の関係性は、今までよりももっとシンプルで上手くやっていけるんじゃないかって思った。



お互いがお互いの事を大好きで嫌いになる事なんて無いから、忘れたり捨てたりしなくていいんだって、そう思ったら、矛盾してるけど俺の腕の中に居る愛しい幼馴染を手放せる気がした。


きっと紗綾も同じ事思ってて、これが俺らの正解なんだって、そう思うとなんでか俺も泣けてきて、やっと長かったこの憂鬱でもどかしい想いから俺も紗綾も解放されたって、お互いを強く抱きしめながらそんな事を思った。







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作者名:あお | 作成日時:2024年1月9日 17時

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