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風雅の事はどうしたって気にはなる。
だけどそれで斗亜を傷つけたりしたくないって、そう思って、今までの彼氏の時には出来なかった、風雅への気持ちに蓋をするって行為が結局斗亜を傷つけてた。
斗亜はそんな私も受け入れようと頑張ってくれてたのに、風雅への気持ちを隠すことで余計に不安にさせて傷つけたって、無言で立ち上がった時の斗亜の顔を見てそう思った。
私の根底に風雅が居る限り、好きな人を傷つけてしまうんだろうか。
ただの幼馴染ってやつになれるならなりたい。
だけどそうなれなかった。
でも、自分に嘘はつけないから、どんだけ誤魔化そうとしたって、風雅が大事なのは変えれない。
そう思ったら何でか風雅に会いたくなって自分の部屋を飛び出した。
・・・・・・・・・・・・・
4階建て校舎の屋上からは学校周辺が割と見渡せるから、さっき俺を殴って「後で返せ言うても返さん言うたやろ?」なんて捨て台詞だけ吐いて屋上から出て行った斗亜と校門で斗亜を待ってた紗綾が、近くの公園で何かしてるくらいは余裕で見える。
「・・・・ほんま・・・面倒くさ」
誰もいない屋上で誰に言うわけでもないけどポロっと出た独り言は、結局は自分自身に向けた言葉。
昨日、紗綾から今までの気持ちを聞かされて、やっぱり紗綾の事大事だと思った。
紗綾も自分の気持ちをちゃんと口にして俺自身に伝える事で、自分の中にあったモヤモヤしてたいろんな感情になんとなく整理がつけられたようだった。
「ごめんな?・・・あの時紗綾が俺の事好きって言うてくれたん・・嬉しかったんやで?・・・あれは幼馴染としての好きじゃない事もほんまはわかってたで?・・・・でも・・・あの時俺から好きって言うたのに、紗綾の気持ち、受け入れられへんかってん。・・・・何かちゃうって・・・変やけど、一番大事やから認められへんかってん。・・・・・今更やし、ちゃんと受け入れてたらって後悔もしたけど・・・自分で全部壊してしまったけど、紗綾がこの先もずっと大事なんだけは・・・変えれへん」
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作者名:あお | 作成日時:2024年1月9日 17時