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だから、あの時急に絶交しようと言った風雅は、もう私の知らない風雅に見えて、今まで私が守って来たものって何だったんだろうって思った。
あの日強引にキスをしてきた風雅が私に告げる私への気持ちを聞いて、慌てて本当の自分気持ちを伝えたかったけど、私達のタイミングはもうズレてしまってたってわかった。
ずっと一緒に居たかった。
どんなに関係性が曖昧になってても、風雅も同じ気持ちを持ってるって思ってた。
ストンって何かが足元から無くなっていって、もうどうしていいかわからなかった私に、大丈夫って言って、いつもと変わらず受け入れてくれる斗亜が隣に居てくれた。
説明しようのない風雅との関係も普通に受け入れてくれてて、もしかしたら風雅以上に私でいれる人だったかもしれない。
風雅には怒られる事も斗亜はいつでも私を肯定してくれてた。
それは斗亜が風雅の友達で、私と風雅を特別視しない対等な関係性をずっと持ってくれてたからだと思う。
だから私も自然と斗亜には甘えてて、思う事感じる事を素直にぶつけていた気がする。
斗亜に付き合ってみないかと言われた時、全然ピンと来なかった。
だって斗亜の事そんな風に見た事が無かったから。
だけど、斗亜の横に居る自分がすんなり想像できて、何でか安心できた。
それが恋かどうかはわからなかったけど、斗亜の隣に居たいって思えた。
斗亜が今までの彼氏と違うのは、私と風雅の関係性を理解しているからこそ、受け入れようとしてくれてた。
だけど、友達から恋人へ関係性が変わるのと同時に今までの斗亜との距離も当然だけど変わっていって、次第に斗亜もこの関係に悩んでるのが雰囲気でわかってしまった。
斗亜は絶対に口に出さなかったけど、本当は今までの彼氏の誰よりも風雅の事を気にしてて、それでも好きになってくれた斗亜に一生懸命気持ちを伝えてたつもりだったけど、肝心の風雅への想いが自分でももうあやふやなものだったから余計に斗亜に不信感を持たせてしまってた。
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作者名:あお | 作成日時:2024年1月9日 17時