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「・・・・紗綾泣いてたで?・・・紗綾の事泣かさんって思ったから譲ってんけど?」
「・・・・譲るって・・・・。紗綾は物ちゃう」
「せやな。・・・物ちゃうから、紗綾の気持ちってもんがあるしな」
「・・・・・・何が言いたいねん?」
いちいち勘に障る言い方をされて語尾が強くなる俺をジッと見つめてくる。
「昨日・・・紗綾のほんまの気持ち・・・聞いた」
「・・・で?」
風雅の言葉に正直動揺した。
二カ月前俺が風雅に言った言葉を今度は俺に向けられて、でも、あの時の紗綾の気持ちと今の紗綾の気持ちは一緒じゃないし、正直昨日の紗綾が何を思っているかなんて俺には想像ができないから。
数メートル開いていた距離を、風雅がゆっくり詰めてくる。
その目は最近の何考えてるかわからない目じゃなくて、しっかりと俺を捉えて真っ直ぐに向かって来るから思わず視線を逸らしたくなるけど、逸らしたら確実に負ける気がして堪えた。
「昨日紗綾と何話したか知りたい?」
含みを持ったその言葉に思わず手が出そうになったけどそれも堪える。
「・・・いいわ。・・・聞くんやったら紗綾から聞く」
ムキになりそうな感情を抑えてそう言うと「・・・・・せやな。こういうんは本人から直接聞いた方が誤解が無いしな」って言って再び校門の方へ視線を向ける。
「今・・・・紗綾来てんで?」
「・・・・は?どこに?」
「校門で待ってる。・・・・・俺は昨日、紗綾に俺の気持ち伝えた」
校門に視線を向けたままも風雅の言葉に心臓がバクバクする。
今更紗綾に何を伝えたんだろう。彼女が居るって言ってたのに。
「あの時俺は自分の気持ちに区切り付けたのに、いつまでも信じられへんって疑う彼氏と、ずっと一緒に居た幼馴染と・・・・紗綾はどっち選んだと思う?」
完全に喧嘩売られてて「お前何やねん。・・・ずっと逃げ続けて来たくせに今更出てくんなよ」って、感情のまま言葉にする俺に「それはお前もやん?・・・いつまでも疑ってんのに直接紗綾に聞けへんかったんやろ?」
言い返せない俺に「今・・・直接紗綾に聞いてきたら?・・・聞かへんのやったら俺が紗綾もらうで?」って宣戦布告してきた風雅に思わず手が出てしまった。
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作者名:あお | 作成日時:2024年1月9日 17時