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自室のベッドで寝転びながら動画を見ていたら、微かに玄関の方で音がした。
親が帰ってきたんだと何となく思い特に気にしていなかった物音が、次第に階段を結構な勢いで上がってきて意識が部屋の外に向かった瞬間部屋の扉が勢いよく開いて、焦った俺の目に飛び込んできたのは、涙目なのに何故か怒ってるような顔した紗綾だった。



「・・・っっビックリさせんなや。・・・何やねん?勝手に入ってくんな」


ナチュラルに不法侵入だけど玄関の鍵を開けっ放しにしていたのは俺だし、アポなしで勝手に紗綾がうちに来るのも別に今更だけど、もう今はそんな関係じゃないからどう反応をしていいか戸惑う。



「なぁ?・・・・・風雅ほんまに彼女いんの?」



何でか俺を睨みつけながら聞かれた質問に「・・・・居るってさっき言うたやん。それわざわざ確認しに来たん?・・・・ってか斗亜は?」体を起こしながら部屋の入り口で立ち尽くす紗綾にそう言うと「・・・・・もう嫌や」って小さく一言口にしたと思ったらポタポタ涙を零し始めるから、慌ててベッドから降りて紗綾の顔を覗き込む。


「ちょ・・・どうしてん?・・紗綾?」
「・・・・もうわからへん」


なんか張り詰めてたものが切れたみたいに泣き出した紗綾の手を引いてベッドと机の間に座らせる。
隣に腰掛けて、とりあえず紗綾が泣き止んで落ち着くのを待つことにした。
手を引いた時に繋いだ手はそのままで。











こうして泣く紗綾の手を繋いで慰めた事は過去に数えきれない程あって。
小さい時は紗綾の頭を撫でたりギュって抱きしめたりしたっけな。




隣の家同士、たまたま同じ日に生まれたってだけの、それだけの、特別な設定の幼馴染。





どうすれば良かったんだろう?

変わらずに一緒に居る方法はいくつもあった。
何度もそのチャンスはあった。


後悔は後に悔やむって書くように、今までの紗綾との日々は後に悔やむことが多すぎた。
その度、素直になれなくなってた。
過去は変えれないから後悔するのを止めたけど、心の奥底ではいつだって特別な俺の紗綾だった。





数分したらちょっと落ち着いたのか、しゃくり上げながら断片的に気持ちを言葉にし始めた。




俺への幼馴染としての気持ちと、そこに収まらない気持ち。
関係ない人からの妬みや嫉妬。
一番近くて一番遠くなってしまった俺らの関係性。






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作者名:あお | 作成日時:2024年1月9日 17時

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