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「風雅の彼女って・・・・前に見た子かな?」
「・・・どうなんやろな。学校でもそんな話せんから俺もわからん」


風雅が帰った後、紗綾の部屋でゲームの続きをしている俺に紗綾が質問してきたけど、俺はその答えを持ち合わせてない。
最近の俺と風雅はゲームや漫画といった実の無い他愛のない話しかしないから、紗綾の事も風雅の彼女の事も話題に出る事は無かった。

別に仲が悪いわけでもないけど、お互いがそういった話を避けてたのは気まずいからでもなく、普段からそういう話をわざわざしない関係性だったから。
ただ俺の相手が紗綾だから、余計そんな話をしないってのはあるかもしれないけど。





風雅と紗綾の関係が切れたっていうけど、そもそも高校生になってからはそんなわざわざ連絡取ったり会ったりするような関係でもなく、ましてや中学生の時みたいにいつも一緒に居るわけじゃなかったから、傍から見たら別に今までとさほど変わったように見えない。

逆に言えば何も変わってないように見えるから、結局は二人が幼馴染なのは変わらないっていうか。








紗綾と一緒に過ごす時間が増えて、今までとは違う感情を俺も紗綾も持ってるのはわかるし、紗綾がちゃんと俺の事を彼氏として見てるのもわかってる。
俺らは友達関係が長かったし、俺と紗綾の間に風雅が居た頃の関係性が馴染んでるけど、これでも少しは付き合ってるっぽくなってきたなってなんとなく思ってた。




だけどどうしたってやっぱり風雅がチラつくし、言葉でも態度でも紗綾が俺を好きって見せてくれても、いつまでも風雅の影がよぎってしまう。
そんなモヤモヤをずっと抱えてるけど、モヤモヤしたって紗綾の事が好きだし、俺と付き合ってるのは現実だから、モヤモヤも違和感も気付かないフリをずっとしてる。







「・・・・そんな気になる?風雅の彼女」


携帯に目を向けたまま紗綾に尋ねる。
集中できないのに携帯から目を離さないのは、紗綾の顔を真っ直ぐに見れないから。

さっきおばちゃんから、風雅に彼女が居るって聞かされた時の紗綾の顔は何とも言えない顔してた。
今また紗綾の表情見てこれ以上モヤモヤしたくないから。



俺の質問に隣に座る紗綾がこっち見てるのが気配でわかるけど、俺は携帯から変わらず目を離さないで集中できないゲームを続ける。




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作者名:あお | 作成日時:2024年1月9日 17時

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