憂鬱な僕２ (ページ13)

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風ちゃんって呼ばれて振り返ると、小さい時から変わらない俺の好きな優しい笑顔で紗綾のお母さんが立っていた。

「風ちゃんおかえり」
「ただいま。・・・おばちゃん久しぶりやな」
「ほんまよ？風ちゃん最近全然うち来ないしおばちゃん寂しかったんよ？」

そう言いながら俺の頭を優しく撫でてきて、小さい頃からしてもらってたおばちゃんの癖に思わず顔が緩む。

家の前で軽く近況を話しているとおばちゃんに一緒におやつ食べようって誘われた。
今までなら何のためらいもなく自分の家のようにお邪魔していたけど、一瞬迷った。

「今日は紗綾帰ってくるん遅いからおばちゃん１人やねん。風ちゃん話し相手なってくれへん？」

大好きなおばちゃんにそんな事言われたら行かないわけなくて、ためらいの原因が居ないならと、足を自宅の隣に向けた。

「風ちゃん、紗綾と喧嘩でもしたん？」
リビングでさっき買ったらしいどら焼きを俺の目の前に置きながら心配そうな顔で俺の顔を覗き込まれ、俺はその視線を合わせられずどら焼きに視線を移す。

「・・・・喧嘩・・はしてへん。ほんまに。・・・ってか・・・思春期やねんて。やし、そんな前みたいにはできひん」

しどろもどろに返事をし、出されたどら焼きに手を伸ばすと「そういうもんなん？・・・風ちゃん・・彼女おるんか？」って次々と答えにくい質問が飛んでくる。

「・・・・一応」
「一応て何やの？そんな曖昧な・・・。紗綾も斗亜くんと付き合ってんの？最近よく斗亜くん家来るけど。・・・・もしかして風ちゃん2人に気使ってんの？せやしうち来んくなったんか？」

気使ってるんじゃない。
わざわざ2人が一緒に居る所を見る必要が無いから。
だって俺らはもう友達でも幼馴染でもない、ただのお隣さん。

「まぁ・・そんなとこ？幼馴染やからって俺がしょっちゅう彼女の家におったら流石に斗亜かて嫌やん？・・・・そういう年頃やねん」

それっぽい理由を言うと「確かにそうやなぁ・・・。でもなぁ、おばちゃん斗亜くんも好きやけどな？風ちゃん来てくれへんのは寂しいわぁ？」そう言いながら優しく俺の頭を撫でるおばちゃんに「ほなおばちゃんがうち来てくれたらええやん？俺居る時に」って苦笑いで返す。

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