憂鬱な僕２ (ページ11)

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駅のホームで名前を呼ばれて声の方を見ると芹香だった。

卒業以来全然会わなかったけど、スラっとした体形に少し派手なメイクは相変わらずだったから、ニコニコしながら近づく彼女に「お前全然変わらんな」って、彼女全体を眺めながらそう言うと、彼女も俺をジロジロ見ながら「琉巧も全く変わらんやん」なんて返ってきた。

そんな久しぶりの再会を特別喜ぶでもなく、そう言えばさぁ、なんていつも通りの感じで話して来るから俺もいつも通り適当に返事する。

「紗綾ってほんまに斗亜と付き合ってんの？風雅ちゃうん？」

紗綾と芹香は一番仲の良い友達だから、別の高校へ行っててもそれなりに連絡を取り合ってたりするんだろうって思いながらも「えー？それ誰から聞いたん？紗綾から？」って逆質問で返した。

「こないだ久しぶりに紗綾と遊んだらさ？斗亜と付き合ってるって嬉しそうに言うんよ。で、風雅は？って聞いたらさ？関係切れたって。・・・・最近紗綾と会ってへんかったからよくわからんのやけどさ？・・・あんだけ風雅が居ないと無理って感じやったのに・・・何かあったん？」

芹香の疑問になんて答えて良いか正直わからなくて「んー・・・みんなそれなりに大人になってってんのちゃう？気持ちも色々変わってくしな・・・知らんけど」なんて答えにならない答えを不満そうな芹香に返した。

俺の回答を聞きながら「そらな？誰が誰と付き合っても全然良いんやけどさ・・・風雅の幼馴染ってだけで紗綾結構妬まれてたし、彼氏作りまくってたけど・・・最後は風雅とくっつくと思ってたからさ。・・・あ、斗亜があかんとかちゃうで？・・・・たださ・・やっぱ2人ってなんか特別な感じしたから。・・・琉巧もそう思わんかった？」そう言いながらホームに滑り込んできた電車に視線を向ける芹香と同じように俺も電車に視線を向けながら「それは・・・みんなそう思ってたんちゃう？・・・でも、本人ら含めても・・・その特別って空気より出来上がった現実が事実っていうかさ・・・実際は風雅と紗綾は付き合ってへんってのが・・・今の現実やし、関係ない俺らがどうこう思っても2人の問題やしな・・・」

電車の音に掻き消されそうな俺の言葉は芹香の耳にちゃんと届いてたみたいで「・・・琉巧の言う通りやけどな・・・でも、そうやね。外野があーだこーだ言う事じゃないよな」って小さい溜息を溢した。

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