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「・・・なぁ?俺に気使ってんのか、あいつが言わんといてって言うてんのかどっち?」
ずっと会話に入ってこなかった風雅が急に発した言葉は、風雅の視線からして斗亜に向けて言っていて、主語の無い風雅の言葉の意味を理解してる斗亜は気まずそうに「・・・別に、どっちでもない」って呟くように返事してて、そのやりとりについていけてない西村くんと彪太郎はポカンとしてる。
「ほな言うたらええのに。・・・・拓哉、紗綾の彼氏って斗亜やで?」
風雅の言葉にやっぱりついていけてなさそうな西村くんが「・・・ぅん?斗亜って?・・彼氏?・・・・紗綾ちゃんの彼氏が・・・斗亜?・・・って、斗亜?」
ぼんやりと風雅の言葉を復唱しながらやっと理解した西村くんは、斗亜の名前を連呼しながら驚きの顔を斗亜に向けると、斗亜はその視線を合わせることなく気まずそうな顔をしたまま「・・・そんな何回も名前呼ばんでええし」って言いながら首を掻きながら風雅に視線を向けた。
「気使ってたわけちゃうけど・・・今まで紗綾の事、学校で言うてへんかったし・・なんとなく」
なんとも歯切れの悪い返事をする斗亜に西村くんが「え?何?どういう事?元々知り合いなん?全然興味無さそうやったやん?」そう早次に質問していくけど、斗亜の視線は風雅に向けたままで西村くんの話は綺麗に流されていく。
「・・・せやったな。俺が紗綾の事言わんといてって言うてたんやったな」
風雅も驚いてキョロキョロしてる西村くんに目もくれず斗亜に返事する。
俺は2人の動向を蕎麦を啜りながら見守るしかなくて、さり気なく斗亜と風雅に視線を交互に向けると斗亜は相変わらず気まずそうな顔をしたままだったけど、風雅はなんとなく納得してるような穏やかそうな緩い顔をしていた。
「紗綾・・・俺の幼馴染やねん。・・・斗亜も琉巧も中学一緒やし知ってる。今までいろいろあったから高校で紗綾の事言わんといてって2人に言うててん。・・・やし、拓哉が紗綾の事騒いでた時も、俺ら最初から紗綾の事知っててん。・・・言わんでごめん」
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作者名:あお | 作成日時:2024年1月9日 17時