48 ページ48
・
風雅の返事で彼女がいる事を初めて知った俺は「え？風さん彼女居んの？初めて聞いてんけど？」驚きながらそう返すと「ちょっと前にできた。・・・・誰にも言うてへんかったから、そら初耳やろ」なんてのんびりしたトーンで返ってくる。
風雅の返事に少し疑問を感じ「皆に言わんの？・・・まぁ、言わんでもええねんけど」なんて、一体どっち？な質問をすると「・・・どっちでもええねんけど・・・直ぐ別れるかもしれへんし。・・・なんかお試し？」って、ちょっとよくわからない返事が返ってきて、彼女の事を話してくれた。
「へぇ・・・まぁ相手がそれでええんやったらな？・・・でも風さんはどうなん？好きになれそうなん？」
「んー・・・嫌いじゃない。・・・・付き合うって、何やろな？」
「でも・・なんか珍しいな？風さんそういうの面倒がって断るやん？」
「・・・・・なんか、その時の気分で決め過ぎてもあかんなって。・・・ちゃんと相手の事知ってからでもええかなって・・・・」
高校に入って割と直ぐに仲良くなった風雅は俺が知ってる限りでは今までの彼女は３人。
確かに付き合ってた子は風雅のノリに合う子だった気がするから、きっと風雅の心地いい雰囲気持ってる子だった気がする。
彼女にならなかった子も何人か知ってるけど、無理なものは無理って感じでバッサリ断っていたから、今の彼女との始まりを聞いてちょっと意外だった。
「なんか心境の変化でもあったん？」
何の気なしにそう聞くと風雅はまたゆっくりと空を見ながら「・・・・ちゃんと向き合わな大事なもんって見つけられへんのやなって」なんて言い出すから「どうしたん？えらい大人な事言うてるやん。・・・・・話、聞くで？」
だけど風雅はこれ以上特に何も言わなくて、言いたくない事を無理に聞き出すのは違うと思ったから俺もこれ以上は踏み込むのを止めた。
当初の目的の映画を観ていつも通りに街をブラブラしていると「こたちゃん。・・・大事なもん失くした時って、どうしたらええかな？」なんて聞いてきて、その憂いを帯びた声に俺は適当に返事ができなくて「・・・・・そんな経験あらへんけど・・・。俺は多分ひたすら後悔しそうやわ」ってただの自分の感想を伝えると「後悔って・・後に悔やむんやな。・・ほなやっぱりもう、しゃーないってことやなぁ」なんて呟く風雅にかける言葉は無かった。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 158人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あお(プロフ) - ぴのさん» 好みの書き方みたいで嬉しいです！感情移入しにくいかと思いますが、全作品、固定氏名で書かせていただいてます。それで良ければ最後まで読んで頂けると嬉しいです。 (10月13日 20時) (
レス) id: 8b0beef4ed (このIDを非表示/違反報告)
ぴの - 文才がとても好みなのですが、名前変換はできないよう設定しているのでしょうか？ (10月13日 14時) (レス) id: 8b367529bc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あお | 作成日時：2023年10月11日 17時
