憂鬱な僕

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可愛いのはわかってる。謙遜なんかしない。
でも、他の子だって可愛いし、男の子とも仲良いけど女の子だっていっぱい仲良い。






茉奈ちゃんだって風雅が好きって言ってても野球部の子達と仲良いし、やってる事一緒だと思う。


そう言うと茉奈ちゃんは凄い怖い目で睨んできて、紗綾なんか大嫌いって言われた。





風雅と仲良くしてたら大嫌いって言われた。
好きな人の隣に自分じゃない誰かがいたら嫌いになるもんなんだ？
それって、本人がどうこうじゃなくて、その状況が嫌ってだけの話なのに嫌いって言われた。


言い合いを横で聞いてた芹香が「あんなん気にしたらあかんで？紗綾なんも悪くないから」って言ってくれるけど、心の中は結構グサッてきてて落ち込んだ。

だけど、誰に何を言われようと風雅は勿論だけど、私が誰と仲良くしようと文句言われる筋合いはやっぱりないから、いちいち落ち込むのも馬鹿げてる。
どうせこれから先もいっぱい言われるなら、全部聞き流して空気の読めない奴になった方が楽だった。








誰かの感情をいちいち気にしてたらこっちがしんどくなる。



そんな風にいろんな事をやり過ごしてきたから、いつか琉巧が言ってくれた、風雅と真剣に向き合う事も、自分の気持ちも全部があやふやになっていった。









高校へ行ってもそれが染み付いてしまって、新しくできた友達に風雅の事を紹介しなかった。

女子高だから、他校のイケメン男子の情報は常に入って来る。
風雅や斗亜や琉巧の名前もよく出てくるし、出身校が一緒なのがバレると繋げて欲しいって言われたけど、高校離れて全然会わないからって断っていた。




もう風雅と仲良い事で友達と衝突したくなかったから。
実際高校が離れると、会うのに理由が必要になった。

意味なく風雅の部屋に入る事ができなかった。
何でだろうって考えたけど、物理的に距離ができるとなんとなく大きな壁ができた気がした。

寂しく感じたけど、もしかしたらこれが本当の幼馴染の距離なのかもしれないって思うようになった。
そんなの関係ないくらい仲が良いとは胸張って言えなかった。



表向きは変わらない関係だったとしても、私は風雅の気持ちを何一つ知らないし、風雅も私の気持ちなんて知らないから。

お互いが本当はどう思ってるかなんて、今更過ぎて聞く事さえもできなかった。

そんなツケが全部回って来たんだなって、私の知らない女の子と歩く風雅を見て、冷静にそんな事を思ってた。





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