憂鬱な僕

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感情を飲み込んだのが良かったか悪かったかなんてわからないけど、今の紗綾に言った所で紗綾を困らすのは目に見えていたし、まさか自分が紗綾に対してそんな感情を持ってたなんて思わなかったから。





・・・思わなかったってより、気付きたくなった、が正解だけど。


目の前で紗綾があからさまに落ち込んでいて、いつもなら優しくしてあげるけど、そういう関係ももう限界で、風雅も紗綾もだけど、俺も紗綾と今までのような関係性でいれないって思った。







「・・・・そもそも紗綾さ・・・風雅と今まで通り仲良く居たいって言うけど、お互い彼氏彼女居て、それとは関係なく仲良く居たいって・・ほんまに思ってんの？・・・自分に都合良い幼馴染で居ろって？・・・・流石に無理ちゃう？」



そこまで言ってから、言い過ぎたって思ったのは、紗綾が困惑した表情のままで静かに泣き出したから。


当事者の風雅が言うならまだしも、全然関係ない俺が言う事じゃないのに、自分の中の紗綾への気持ちを隠すように紗綾に攻撃してしまった。
それでも俺が言った事は多分誰もが思ってた事で、でもこれは風雅と紗綾の問題だからって誰も言わなかった事。







前から思ってたけど紗綾はかなりの鈍感で、歴代彼氏は両手を超えていて恋愛経験が豊富そうに見えても、重度の恋愛下手だと思う。
人の好意や感情の細かいニュアンス的な物がざっくりしすぎている。



それは多分俺を含め、紗綾と仲の良い女友達でさえも紗綾を甘やかしてきたから。
我儘なわけじゃないけど、自分の気持ちに素直っていうか、相手への些細な思いやりのニュアンスがちょっと違うって言うか・・・。

そこが紗綾の魅力でもあるし、可愛いとこでもあるんだけど。


今までの紗綾の彼氏がどんな奴だったか知らないけど、中学の時から変わってないのを見ると、誰も紗綾に厳しい事を言って来なかったんだなって思う。




とは言え、俺も紗綾に関してはかなり甘かったし、なんならこの話は俺に関係ない。
関係無いけど、やっぱり誰かが言わないと風雅も紗綾も、俺も何も変わらない。



「・・・そんな泣かんでええから・・・。ただ紗綾は、もう少し自分の気持ちをちゃんと考えた方がええんちゃう？・・・なんで風雅と幼馴染の範囲内から抜けれへんのか・・とか、今までの彼氏のどんなとこが好きで付き合ったとか・・・。じゃないと紗綾も自分のほんまの気持ち、わからんのちゃう？」



きつい言い方してごめん。





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