25 ページ25
・
気付けば斗亜と琉巧も居て、俺が行くって返事してたらしく、2人も巻き添えになった所で俺の意識が戻ってきた。
「・・・え？俺行くって言った？」
面倒くさかったのと、昨日の紗綾の事を考えていて、全然話を聞いてなかった俺が悪いけど、思わずそう言うと「うん。良いよって言うから、もう相手の子らに返事した」って拓哉が携帯の画面を見せてくる。
全部見るのが面倒くさくて一番最後だけに目をやると「じゃあどっちも５人で！楽しみ」なんて書かれてた。
行く気は全く無いけど、拓哉と彪太郎が凄い楽しそうに話してて、斗亜と琉巧も２人に釣られて行く気になってる所に今更行かないって言うのも気が引けたのと、なんかもうどうでも良いやってなってて、断る事さえも面倒くさくなっていた。
一緒に居なくても自分の一部みたいに俺の中に住み着いていた紗綾を本当の意味で失くした俺は、なんとなくスッキリした気分と寂しい気分で、呆気なく終わった紗綾との関係と、初めて知るこの虚しい感情を持て余していた。
この虚しさからくる虚無感は、紗綾を泣かせたあの日の痛みと同じくらい痛く、圏外な自分に気が付いた時の比じゃないくらい辛い。
食堂を出る時斗亜に呼び止められて３人と少し距離を取って歩く。
「昨日、紗綾から連絡あってんけど・・・風雅はそれでええの？」
「・・・ええも何ももう終わった事やし」
・・・・・・・・・・・・・
昨日、紗綾に振られた男と服屋に取り残された斗亜と琉巧は、その男に同情しながら立ち話をし、そのノリでファストフードで紗綾の愚痴を聞かされてた所に紗綾から連絡がきた。
その場を琉巧に任せて斗亜が紗綾の元に向かうと、紗綾は駅前近くの大通りの隅で無表情で立ち尽くしていた。
「紗綾？大丈夫？・・・風雅は？」
覗き込むようにして紗綾に問いかけるけど紗綾は首を横に振るだけで、その表情は今にも泣きそうだった。
風雅が紗綾に絶交宣言して、慌ててその後を追いかけた紗綾が一人で居るって事は、上手く仲直りできなかったのかなと思い「・・・風雅・・仲直りできんかったん？」そう尋ねると、とうとう紗綾の目から涙が零れた。
どうしていいかわからず無意識に紗綾の頭を撫でると「もう風雅に会えへん・・どうしよ？」って泣きながら抱きついてきた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 158人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あお(プロフ) - ぴのさん» 好みの書き方みたいで嬉しいです！感情移入しにくいかと思いますが、全作品、固定氏名で書かせていただいてます。それで良ければ最後まで読んで頂けると嬉しいです。 (10月13日 20時) (
レス) id: 8b0beef4ed (このIDを非表示/違反報告)
ぴの - 文才がとても好みなのですが、名前変換はできないよう設定しているのでしょうか？ (10月13日 14時) (レス) id: 8b367529bc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あお | 作成日時：2023年10月11日 17時
