37 ページ37
・
この間斗亜が２１歳になって一緒に過ごしたけど、どうしても外せない予定があると言って会えたのは夕方からだったし、車で迎えに来てくれた斗亜の第一声は、今日はまだ今後の話はしないでおこうだった。
助手席に座る私の横顔は多分納得いかない顔をしていたと思う。
「・・・不安にさせてごめん。せやけど、中途半端な気持ちで話したくないねん。・・・やし、もう少しだけ俺の事信じて待ってて？」
私と離れている間にそんな大人な男のセリフがサラッと言えるくらいになってて、なんとなく悔しくて寂しかった。
「ん・・・斗亜の言ってる事わかるし、急かしたくはないねんけど。・・・正直不安やし寂しい」
ここで無理矢理、わかったなんて言わない。
斗亜の気持ちも理解するけど、私の感情もちゃんと伝える。
私の言葉を聞いていた斗亜をチラッと見ると、何でか嬉しそうに笑ってて「何で嬉しそうなん？私不安ねんけど？」って言うと、ごめんって言いながら「いや・・・寂しがってんの可愛いなって。・・・そういうのもちゃんと言ってくれるん、嬉しい」なんて見当違いな感想が返ってきた。
斗亜に今でもそんな風に思ってもらえるのを嬉しいと思いながらも、やっぱり斗亜の気持ちがわからないから不安の方が大きくて、更に文句を言おうとすると「俺も寂しいで？」って先に言われて言葉を失くす。
「俺ももう１人で寝るん嫌やもん。・・・・待たせてんの俺やけど、会いたいなぁって思ってんで？」
そんな事言われたらもう気持ちが溢れてしまって「・・・じゃあ帰って来てよ？・・・私ももう１人で寝るん嫌や」って言うけど、ちょっと考えるとだけ言って会話が途切れた。
二人の今後の話がまとまるより先に、マンションの契約更新の手続きの方が先だったから、この間とりあえず更新した。
更新料も無いし、最初の２年の契約期間住めば違約金も発生しないから、もし今住んでる部屋を出る事になっても問題は無かった。
本当は次の契約期間の２年も一緒に居るつもりで更新したかったけど、この先一緒にこの部屋で斗亜と過ごしているのかわからないのがもどかしかった。
結局この日は会うのも遅かったから、近況を話しながら一緒にご飯を食べて終わった。
今日は一緒に家に帰る？と聞いたけど、明日朝一から予定があって準備があるからと自宅に帰って行った。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 77人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あお(プロフ) - 栞乃さん» ハマって頂いたなんて嬉しい限りです！ありがとうございます！凄い大きい出来事のない、普通のカップルのお話ですが、なるべくありふれてる日常をイメージして書いてます。ので、気持ちの描写を褒めて頂いてめちゃくちゃ嬉しいです！最後まで読んで頂けると嬉しいです、 (10月6日 13時) (
レス) id: 8b0beef4ed (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - ちいさん» ずっと読んで頂いてる方からこんな嬉しい感想を頂いてめちゃくちゃ嬉しいです。吉川さんはもっと斗亜の成長を促すのに登場させたかったのですが、上手く使いきれなくて消化不良です。。。もっと精進します！最後まで読んでいただけると嬉しいです！ (10月6日 13時) (レス) id: 8b0beef4ed (このIDを非表示/違反報告)
栞乃(プロフ) - いつもドキドキしながら読ませていただいております。捺香と斗亜のお互いを想う気持ちの描写一つ一つがとても丁寧で読む度引き込まれています。初めて占ツクでこんなにハマりました。ありがとうございます！これからも楽しみにしております！ (10月5日 16時) (レス) @page38 id: 2d069a57ab (このIDを非表示/違反報告)
ちい(プロフ) - 人の感情の深い部分が感じられるこの作品、不思議な気持ちになりながらも引き込まれてずっと読ませてもらってます。個人的に吉川さんのキャラクター性というか、言葉が響いて好きです。これからも更新楽しみにしております！ (10月5日 14時) (レス) id: dd60ea8e42 (このIDを非表示/違反報告)
あお(プロフ) - 甘露寺さん» 大好きって言ってもらえて嬉しいです！感情移入しにくいかと思いますが、全作品、固定氏名で書かせていただいてます。それで良ければ最後まで読んで頂けると嬉しいです。 (10月2日 12時) (レス) id: 8b0beef4ed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あお | 作成日時：2023年9月25日 11時
