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「ご迷惑おかけして、本当にすみませんでした・・・」
昼間のJKに入れ違ってしまった携帯を差し出した途端、何十回目かの着信が来た。
１８回目くらいまでは数えていたけど、鳴り続ける携帯に怖さと、僕の不注意で携帯が入れ替わってしまった申し訳なさでいっぱいになり、着信音は切ってカバンの奥底に突っ込んだけど、彼女に返す５時間の間カバンの奥底で永遠バイブ音が鳴っていた。
彼女は返ってきた自分の携帯のディスプレイを確認したが、鳴り続ける電話には出ず
「もしかしてずっと着信来てた？」と僕に問いかけてきた。
「はい・・・何十回と来てました。。ごめんなさい」
そう小さく返し、ペコリと頭を下げるしかできなかった。
やがて着信音が切れ、彼女が携帯を操作した途端、彼女の大きい目がさらに大きくなった。
「５２件・・・LINEも・・・」
携帯を操作する彼女の空気が険しくなっていくのを感じ、僕は下を向き続けるしかなかった。
もし着信相手が彼氏とかだったらどうしよう。とか。
よっぽどの緊急な連絡だったら、どう責任取ろう。とか。
１００パー僕が悪いので、見ず知らずのJKに怒られる覚悟で、恐る恐る顔を上げた。
初めて彼女の顔を見る認識で顔を上げたから、しっかり彼女と目が合った。
やっぱ可愛かった。が、正直な感想。
少し沈黙が流れ、彼女が口を開いた瞬間、やっぱり携帯が鳴る。
彼女は僕に目を向けたまま電話に出た。
「もしも・・・・ごめん、携帯落としてん・・・いやほんま・・今見つか・・・・」
相手の声は聞こえないけど、途切れ途切れの彼女の会話で相手が早次に話しているのが想像できた。
「いや、しゃーないやん。てかさ、何回もかけて出なかったら心配せんの？LINEの内容も何なん？たった数時間連絡つかんだけで浮気て、どんだけ単細胞やねん」
彼女の口調がだんだんきつくなって言い合いになっているのを、ただ申し訳ない気持ちで見守るしかできなかった。
「いや、もうええわ。あんたと付き合ってる時間が勿体ないし別れて。連絡先全部消して・・・・連絡つかんかった事情を聞こうともせんで、事実と違うあんたの勝手な想像で怒られるとか嫌やし、もし仮に私が跳ねられて病院行ってたとしてもそうやって事情も聞かへん男なんやと思ったら無理。今までありがとう。さよなら」
僕に言ってるわけじゃないのに、彼女の言ってることが正論で、なぜか僕がごめんなさいと小さく呟いた。
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作者名：あお | 作成日時：2023年4月10日 16時
