曖昧で不確かな未来と現在を生きる僕 (ページ50)

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この前の撮影で西村くんに、やり直さへんの？って言われてゆりの事を考えていた。

別れてからもゆりの事を考えない日はない。

初めの方は、もうゆりに会えない事が信じられなくて、待ち合わせた駅とか電車の中や一緒に行った場所に、ゆりとの思い出がありすぎてかなりしんどかった。

そんなんじゃ駄目だと思って明るくしても、心がついていかず余計に疲れたり、みんなの前で笑うのもしんどかったりしていたから、西村くんに顔が死んでるとの指摘に自覚はあった。

こんな自分が嫌で未練たらたらで情けなかった。
だけど、この数ヶ月、仕事で落ち込む日は、気が付けばゆりが励ましてくれた言葉を思い出して眠りについていた。
新しい仕事を貰ったり褒められるパフォーマンスをした日は、僕と一緒に笑ってくれたゆりの笑顔を思い出した。

別れても彼女は現在の僕を助けてくれていて、現在の僕を造ったのは、彼女の僕への愛だったと最近になって感じていた。

もう一度やり直したいし謝りたいけど、彼女に助けてもらってばかりの僕だと同じ事の繰り返しで、僕は1人で成長もできないと感じたし、もしかしたらもう彼女には新しい人がいるかもしれないし、僕の事なんてもう忘れてしまってるかもしれないけど、少なくても今の子供のままの僕だと彼女に釣り合わないなと思った。

彼女は自分は大人じゃないと言っていたけど、僕からしたら随分大人で、精神的にしっかり自立した人だった。
自分の事も大切にしているから、僕の事も大切に想ってくれていた。
自分を大事にできないと相手も大事になんかできない。

僕は自分の事があまり好きじゃないし、自分の事を信じてなかった
だけど自分を大事にするという事は自分を信じる事だという事に、やっと少しだけ気が付いた。

彼女を失って悲観ばかりしていたけれど、失ってから気付くことが多くて、これも彼女からの僕への贈り物だったのかなぁと思うと、俯いてばっかいられないと、やっと1人でも立ち上がる強さが欲しいと思い始めた18歳の春だった。