曖昧で不確かな未来と現在を生きる僕 (ページ46)

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高校２年の1年間は、パンデミックになったウイルスで人との接触が困難な世界になった。
普段の生活は勿論、エンターテインメントの世界も同じで活動の制限がかかり、仕事に支障が出た。

念願だった初単独ライブも予定日程に実現できず延期になり、なんとか実現するも観客を当初の半分であったり、無観客の配信ライブに変更するなど、活動の変更だらけだった。

高校2年の後半頃から少しづつ規制も緩和されると、伸ばし伸ばされた仕事が立て続けに再開された。
ドラマ撮影、初座長舞台、初東京でのライブ、レギュラーのTVとラジオの収録、先輩のツアーバック・・・
高校3年になると、土日は勿論、平日もなかなか時間が作れないくらいだった。

お兄さんグループとの差は未だにあったけど、僕らLilかんさいにも仕事がいくつも用意されていて余裕なく必死に頑張り続けたけど、手応えがあまりないと感じる自分たちの実力不足に毎回悩み落ち込んでいた。

自分たちが頑張って努力していても周りに認めてもらえない、周りにはそう映らない。
もう一段上のステージに上がり切れないやるせなさを彼女はいつも受け止めてくれた。

最近関西に５組目のグループAmBitiousができた。
AmBitiousはずっと自分たちの実力を磨き続けてきた先輩や同期、スキルの高い後輩がいて、アクロバットや歌にお笑いと多方面にスキルを伸ばしているメンバーで構成されているから手数が多い。

僕らには武器と言えるものが無く、全員現役高校生アイドルっていう期間限定のキャッチフレーズでここにいる。
勿論結成当時に比べたら、歌もダンスも上手くなったし、全体的にレベルはあがってる。でもそれは当たり前の事で、周りを見渡せば僕らレベルなんていっぱいいる。

この間なにわ男子が念願のデビューを果たし、大吾くんに「これからの関西頼むで。引っ張ってってや」と言ってもらったけど、僕らにそんな実力もない。

環境も状況も目まぐるしく変化し、いろんな事が立て続けに重なったタイミングだったからか、Lilかんさいの結成当時の焦り以上に僕は一人で焦って空回っいて、彼女との会話も聞いてるようで聞いてなく、ここ最近は何度も、それさっきも言ったと呆れられた。

そんな僕の不甲斐なさの積み重ねが彼女に言いたい事も言わせなくなっていた。
いつだって味方でいてくれて応援してくれていたのに何も返せなかった。
ごめんと何度も心の中で言うけど、もう直接彼女に謝れないことが悲しかった。