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口にすればするほど出てくるくらい我慢させていたんだと、アホな僕は今頃気が付く。
「たかが同級生の男友達に嫉妬すんのと、全国にアホほどいるあんたを好きなファンに嫉妬するんとどっちがしんどい思うねん」
「彼氏が頑張ってる仕事・・・観に行きたくても躊躇う気持ち・・わからんやろ？」
彼女の言葉全部が刺さりまくって、何も言い返せなかった。
息継ぎすることもなく出てきた言葉の数々は、僕が今日まで頑張れるように犠牲になった彼女の感情だった。
「・・そんな事思ってると思わんかった顔やな。・・思ってたよ思ってしまうよ。・・そんな偉くもないし大人でもない・・。アイドルとか関係なく斗亜のことが好きなどこにでもいる人間やもん」
もう彼女の顔が、何かを諦めたような、吹っ切れたような表情だったから、僕は必至で言葉を返した。
「そんな溜め込んでたん？・・もっと言うてくれたら良かったやん。・・ゆりいつも俺には言いたい事言え言うくせに・・・俺かて言うてくれなわからんやん。・・・全然気づけんで・・・ごめん」
謝ったけど、「もう謝らんでええよ」と俯いて小さく首を振った。
「斗亜のことが好きやから。・・自分の感情なんかより斗亜の方が大事やったから、ほんまに気にならんかってん・・」
俯ていた顔を上げて僕を見て「・・・もう無理やな。ごめん」
そう言って薄く笑った。
「ちょっ・・・待って」
ごめんと言ってそのまま帰ろうとする彼女の腕を慌てて掴んだけど、反対の手で制された。
そのまま何も言わないで僕の前からいなくなった。
その日僕は人生で初めてぐらい泣いた。
信じられないくらい泣いた。
赤く腫れた頬よりも、胸の方が比べ物にならないくらい痛くて、壊れるんじゃないかと思うくらい辛かった。
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作者名：あお | 作成日時：2023年4月10日 16時
