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夏の舞台が始まり、夏休みは毎日忙しく過ごしていた。
僕が駄々をこねて我儘を言ったあの日、数十分のためだけに会いに来てくれたゆりちゃんから帰り際に、私も斗亜くんに我儘言うてもいい？とお願いされた。
そんな可愛いこと言われた事なかったし、なんか頼られてる感じがして、ええよ、何でも言うてって返事したけど、なんとも可愛いお願いだった。
次のオフの１日を私に使ってほしい
そんなお願いで良いん？と聞くと、毎日クタクタになるまで仕事してる中の貴重な休みを私の為に使ってくれるなんて贅沢やって返された。
長期休みはコンサートや舞台が連日続いて、世間の週休２日なんて僕らには関係ないから、言われてみれば確かに１日オフは貴重なのかもしれない。
それに、僕の誕生日は舞台があって、当日にお祝いできなかもしれないから、１日デートしたいって理由付きだった。
付き合ってから１日一緒に過ごすのも初めてだから、全然良いよって返事して、舞台の中休みに2人でヒマワリ畑へ出かけた。
太陽に向かって上を向いてる向日葵と、項垂れるように下を向いてる向日葵があって、違いは何だろうねって話をしながらヒマワリ畑を歩いた。
向日葵って斗亜くんの花みたいやなって、白いノースリーブのワンピース着たゆりちゃんが言ってきて、なんで？と尋ねると、太陽みたいに明るいしキラキラしてて斗亜くんやんって。
この日はめちゃくちゃ快晴で、雲も無い澄んだ青空に広がる向日葵の黄色がすごく映えてて、そこに白いワンピースのゆりちゃんがいて、なんかすごい綺麗だと思った。
「ほなゆりちゃんはこの青空やわ。めちゃくちゃ綺麗やし、向日葵も空の方向いてるし」
俺向日葵なんやろ？って付け足すと、彼女は、えー斗亜くんそんなセリフ言えるんー？って恥ずかしそうに笑った。
「ゆりちゃん花好きなん？」
「めっちゃ好きとかないけど、普通に好きやで」
広いヒマワリ畑を手を繋ぎながらゆっくり歩いて、なんてことない会話が途切れないくらい一緒にいるのが居心地良かった。
「桜も好きやしネモフィラも好き。あ、自分の名前のユリも好きやし・・・うん、花好きやわ」
「・・・ん？ネモフィラって何？」
「え？知らん？オオイヌノフグリって知ってる？春先に咲く道端でよく見る小さい青い花」
「ん−・・あ、わかる。公園とかにも良く咲いてるやつ？」
「そうそう。その小さい青い花シリーズ。・・・あの小さいのにしっかり青いのが好きやねんー」
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作者名：あお | 作成日時：2023年4月10日 16時
