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20分ほどして携帯が鳴り、斗亜くんちの前着いたよと言われ、サンダルを引っ掛けて玄関を出ると、バイクに座った彼女がいた。
「・・・ほんまに来たん？」
「え？会いたかったし、もう同じやり取り疲れたし」
そう言いながらバイクから降りて僕へ向かって来る。
びっくりして何にも言えなくなった僕の手を握って、やっぱり直接会わないと伝わらへん事もあるねと言った。
お母さんに、コンビニ行って来るとだけ告げ、久しぶりのゆりちゃんと手を繋いで歩く。
「・・・さっき我儘ばっか言うてごめんな。・・・呆れたやろ？」
せっかくわざわざ来てくれたのに、格好悪くて恥ずかしくて全然嬉しくなかった。
「うん。めっちゃ我儘言うし困ったけど、私もちゃんと自分の気持ち言うてなかったなーって反省した」
「ほんまは私もめっちゃ斗亜くんに会いたいって思ってるよ？やけど言うたら斗亜くん無理するんわかってるし、今は仕方ないって思って、次会える時にめっちゃ我儘言うたろって思っててん」
そう言って、重ねた手をきつく握ってきた。
「斗亜くんが思うより、私も寂しいって思ってるで？でもそれ以上に、やりたい事頑張ってるんやろなぁって思うし、斗亜くんの事好きやから待ってられんねんで？」
せやから、もっと私の気持ち信じてほしいな。
口に出して言われなかったくらいで拗ねて我儘言った自分がすごく恥ずかしい。
好かれてる自信がないのは自分自身の問題なのに、勝手に不安になって好きな人信じられへんなんて、本当に情けなくなった。
ごめん、と呟く、落ち込んでる僕の気持ちが伝わったのか、ゆりちゃんはコンビニ手前で立ち止まって、向き合って僕の頬を両手で抓る。
「い・・痛いねんけど」
「・・・次我満言うたら舌抜くからな」
「ご・・めんなさい」
まあまあの力で抓られて、めっちゃ怖い事を笑顔で言ってきたゆりちゃんに涙目になりながら謝った。
呆れながらも直ぐに会いに来てくれて、僕にちゃんと伝わるように話してくれる笑顔の彼女を見ていると、さっきまでの不安も、情けなさも拭き取んで、心が温かくなる。
数秒そのまま見つめ合ってたら、ふいに彼女が、斗亜って僕の名前を呟く。
呼び捨てで名前を呼ばれて、めちゃくちゃ心臓が早くなって、無意識に僕の頬を抓る彼女の両手に僕の両手を重ねる。
彼女は僕の頬を抓るのをやめ、重ねた僕の手に自分の手を絡ませて、自分の方へ僕の顔ごと引き寄せた。
キスする瞬間、好きやでと囁かれた。
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作者名：あお | 作成日時：2023年4月10日 16時
