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「え？斗亜くん殺されるん？・・・可哀想な役やな・・よくわからんけど頑張ってな」
「いや・・まぁ・・そうねんけど。・・なんかちゃうやん？」
ゆりちゃんと付き合って３か月くらい経ったけど、僕らは変わらず空いた時間にビデオ通話でお互いの毎日を話す。
付き合い始めた頃は仕事もそんなに忙しくなかったから学校帰りにデートとかもできたけど、夏に出演する舞台の稽古が始まると学校終わりもレッスンが続く。
ついこの間まで1週間に１-２日くらい会えていたけど、最後に会ってから２週間近く経っていた。
「なぁーゆりちゃんー・・・会いたいー」
我慢できなくて会いたいと言うけど「え？また言うてる・・・無理やん。しゃーないし我慢して」ピシャリとたしなめられる。
付き合い始めはゆりさんと言っていたけど、呼び方が自然とゆりちゃんに変わったのは、自分の中で2人の距離が少しだけど近くなった気がした。
ちなみにこの会いたいラリーは今日の電話で４回目。
忙しいのは僕の都合だから僕が我慢するのは当たり前なんだけど、ゆりちゃんもバイトが忙しくて、お互いの会う時間がなかなか作れなかった。
だけど彼女が、会いたいって言ってくれる事がなく、我慢する側のはずの僕が我慢できずに会いたいと我儘を言うはめになる。
「昨日も駄々こねてたけど、私も来週まで予定詰まってるから無理やで？」
「んー・・わかってるけどさー・・・電話してたら会いたなるやん・・・」
「じゃあ電話もやめとく？「それはあかん。嫌や」
ゆりちゃんの提案にかぶせるように否定する。
「もー・・斗亜くん我儘やなぁー。可愛いけど」
「あ、また言うた。俺の事可愛い言うたらあかんって言うたやん」
「そやかて可愛い事言うてくるんやし、しゃーないやん」
毎日寝る前の数十分の電話は、たいして重要な会話なんてなくて。
でも、そのどうでもいい会話がしたいために、お互い時間を空けているのが、嬉しい。
「拗ねんといて。・・・好きやで？斗亜くん？」
「・・・・・またそう言うたら俺の機嫌直るって思ってんのやろ？」
「えー？そうやで？・・・機嫌直ったやろ？」
「・・・・・うん」
ゆりちゃんを夢中にさせるって言って付き合ったのに、気が付けば僕ばっかりがゆりちゃんの掌で転がされて夢中になってる。
こんな子供っぽい僕の事、好きでいてくれてるのか心配になる。
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作者名：あお | 作成日時：2023年4月10日 16時
