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最近の斗亜がおかしいと感じたのは、琉巧が映画に行こうと誘った時だった。
レッスンの帰り映画を観に行く話になったが、こないだ先に観ちゃってんけどもう一回観たいし行くわ、と、いつもは乗り気な斗亜が歯切れの悪い返事をした。
公開されてまだ日が浅いし、いつもなら誰と行ったとか、ネタバレしない程度の感想を言ってきたりするのに、今回誘われるまで何も言ってこなかった事に疑問を感じた。
「もう行ったん？早ない？ってか誰と行ってん？」
一番年下の琉巧が尋ねると「あー・・友達とたまたまタイミングあったし・・」頭を掻きながらこれまた歯切れが悪い返事に４人が顔を見合わせたが「ええやん。斗亜どうせ伏線全部わかってへのやろ？答え合わせしにいこ」とふざけた感じで拓哉が話をそらす。
自分の話が上手くそれてホッとした様子の斗亜に、なー面白かった？どんな話？と琉巧がいつも通りのテンションで話すと、斗亜もいつもと変わらない様子になった。
別になんてことないいつもの会話のようで違う。
大したことじゃないけど、何か隠してるのは俺以外のみんなもわかってると思う。
とはいえプライベートやし、それをいちいち聞こうとも思わないけど、あんなにわかりやすく動揺されるとどうしていいかわからない。
結局５人で映画を楽しんでこの話は終わったけど、同じクラスで他のメンバー以上に斗亜といる時間が多い俺からしたら、学校でもやっぱり少し変に感じることが多くなった。
斗亜が変なんは今に始まったことじゃないけど。
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教室で友達とじゃれてる斗亜をぼんやり観察していると、そういえば最近やたらと携帯を気にしていたなぁと思い出す。
そんで、携帯弄りながら嬉しそうににやけてて、気持ち悪いなぁって言ったら慌ててた。
なんや、彼女でもできたんかな？
漠然とそう感じたけど、そんな事こっちから聞けないし、斗亜は案外秘密主義だから、どうでもいい話はアホほどするけど、よっぽどじゃないと自分の話をしてこない。多分。
そうは言っても俺自身も割と秘密主義なとこあるから、言いたいことだけ口にしたら良いと思うから、まあいいや。
だけど、斗亜は俺のまあいいやと違って、生真面目やから、上手く聞き流したりスルーすればいいのに、他人の言葉や気持ちを全部そのまま受け止めてしまうところがある。
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作者名：あお | 作成日時：2023年4月10日 16時
