曖昧で不確かな未来と現在を生きる僕 (ページ3)

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僕がこの世界を選んだのは、家族がアイドル好きだったのもあるけど、三人兄弟の末っ子で可愛がられチヤホヤされてきた事も影響している。
小さい頃から姉と一緒にTVに映る格好良くてキラキラしたアイドルを見ながら、僕もいろんな人にチヤホヤされたい。そんな風に感じた記憶がある。
小学校１年生から始めたダンスも、誰かに強要されたわけじゃなく、上手くなればなるほど周りや家族が褒めてくれる、喜んでくれる。

選んだきっかけはあやふやで、もはや理由なんてなんでもいい。
アイドルでいる自分が好きで、そんな僕をファンの子は肯定してくれて喜んでくれるし、
誰かのために頑張る自分が好きなんだと思う。

僕のアイドル生活は３度目の春を迎えていたけど、季節の明るさとは裏腹に、最近の僕の気持ちは苛立っていた。

下は小学校低学年、上は２０代の大人のお兄さん達が多く在籍する事務所に入った僕は、ちょうど真ん中辺りの世代で、それこそたくさんの弟とお兄さんができた感覚だった。

最初から僕は、前列でみんなを引っ張るお兄さんメンバーに可愛がってもらっていた。
自分が可愛がられる側にいると気づかない事が多いけど、チビッ子全員が気に入られたり可愛がられているわけじゃない。
どれだけスキルが高い子でも、誰かに刺さらないと、アピールのチャンスさえもらえない。
フォーメーションは後ろの方、歌うマイクを持つのに何年もかかる人も居る。
全員が出る仕事しか呼ばれない子も居るし、それさえも声がかからない子も居る。

オーディションに受かってから、わりとすぐにレギュラー番組にも出演した。
同世代のメンバーが先輩として何人か居たけど、おいしいポジションで踊ることも多くマイクを持たせてもらうのも早かったし、年上のお兄ちゃん達にも可愛がってもらえた側だったから立ち位置は良かったんだと思う。

思うっていうのも、自分の中でそれが早いのか、その当時はわからなかったから。
言われるままに、与えられるがまま流されるように活動してきた。

だけど、1.2年もすると見えてくるものがある。
自分はよっぽど運が良かったことに。