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17.
「はー・・びっくりしたー。嫌われたんかと思ったわ」
「え？なんで？嫌いになったって思う要素どこにあった？」
不思議そうに聞く彼女の疑問に返す言葉が詰まり、なんて返そうかと無意識にまた頭を掻く。
困った時に頭を搔くのは僕の癖。
「いや・・・普通の人ちゃうの、嫌がる人もいるし・・」
「あ、そうなん？・・その感覚は私に無いからわからんけど、知る前と後で別に斗亜くん何も変わらんやん？・・・・変わらんけど、そんな無防備で大丈夫？」
「・・・？どういうこと？」
「変装とかせんと女の子と歩いてて大丈夫なん？まあまあ人多いで？」
「あー・・・ほんまや。何も考えてへんかった」
私服だと帽子被ったり、多少の変装じみた事をする時もあるけど、最近はほぼ男友達や関西ジュニアのメンバーとしか外に出ないから、気にしていなかった。
「や、でも、そんな有名ちゃうし、バレへんと思うけど・・」
「けど、はあかん。後で困るんは斗亜くんやで？」
めちゃくちゃ正論を返され、どうしようかと考える僕に「ねぇ・・・イヤホン持ってる？」と、意外な提案をしてきた。
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映画館を出て、彼女の家近くのファミレスでご飯を食べながらさっき観た映画の感想を話す。
毎年春のシーズンに公開されるこの映画は作中いろんな箇所で伏線が張られていて、１回でわからなかったり思い出せなかったりするから、僕は毎年２〜３回はリピートしている。
お互い面白かったポイントや、感じた感想が似てて話が弾み、目深にしてた帽子のつばを触りながら、にこにこ話す彼女を見つめていた。
「・・・なんでそんな見てくるん？」
僕の視線に気づいて彼女が問いかける。
「や・・今日ゆりさんのおかげでめっちゃ楽しかったから・・ありがとうって気持ち？」
「なにそれ・・・まぁでも、楽しかったね。変装も多分バレてないし」
彼女は、制服のブレザーの代わりに着た薄グレーのパーカーと彼女が選んだ淡いピンクのキャップを被る僕を見ながらゆっくり頷いた。
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作者名：あお | 作成日時：2023年4月10日 16時
