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俺、月雪零は今、とある料理屋で人を待っている。
この店はいわゆる貴族たちが使うようなところで、料理の味や内装まで全てが一流。
そんな店に俺が1人でわざわざ出向いて呼ぶような相手は一人しかいない。
『零!』
零「姉ちゃん、久しぶり!」
俺の姉はこの貴族だらけの店に入っても、一切見劣りを感じさせない。月雪家からしばらく離れているというのに、その気品は全く劣らない。
俺は姉と話しながら食事をする。
そんな時間でさえ、邪魔が入る。
「あ、あら?零くん、恋人がいたの?」
こいつは、たしか最近やたら俺に色目使ってくるやつだよな。
…面倒くさ。
しかし俺はその感情を一切顔を出さず、偽りの顔で笑う。
零「こんにちは。こんな所で会うなんて奇遇ですね。この方は恋人では無くただの知人ですので。」
姉弟だということは伏せておこう。
そっと姉ちゃんに視線を向けると、流れるような綺麗な動作で会釈する。
咄嗟に対応できる所も、さすが姉ちゃん。
「そ、そうなのね…」
明らかにほっとした顔をする。ダメだよ、そんなにあからさまに顔に出してたら。さっきから姉ちゃんの方を怪訝な顔で見てるのも分かってるから。
正直あんたはどう頑張っても姉ちゃんに勝てないと思うよ。どれだけ立派な箱に入れられても、中身がダメじゃ意味無いもんね。
零「香水変えました?俺、この香り好きですよ」
胸に手を当てて微笑む。
「そ、そうかしら」
嘘に決まってんじゃん。キツすぎ、やめたら?
あとね、連れが異性で二人っきりの時に話しかけてくるのもどうかと思うよ?
女をうまい具合に遠くへ追いやり、俺は改めて席に戻る。
前に座る姉はさっきの女なんかと比べ物にならないくらい綺麗で。
『零、どうしましたか?』
零「ん?姉ちゃんはやっぱり綺麗だなーって」
『零もカッコイイよ』
そう言われ、思わず顔が緩む。姉ちゃんの前では仮面が外れて感情がダダ漏れになるの、治したいんだけどな。
それにしても、俺たち恋仲に間違えられてたけど、やはり傍から見ればそう見えるのだろうか。
実弥さんに勝てた気がして少し嬉しかったのは、姉ちゃんには秘密。
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ぴろぴろ - 夢主の誕生日と私の誕生日同じで草 (2021年4月1日 13時) (レス) id: 65d47dc8e6 (このIDを非表示/違反報告)
ロロ天Runa - 玄弥と絡みたかったけど!良い!あれデスね、神作を作る程度の能力ですね、うん、はい (2021年3月9日 15時) (レス) id: e8de5457df (このIDを非表示/違反報告)
エリカ - 面白かったです!また更新されるのを楽しみにしています!頑張ってください! (2020年4月15日 15時) (レス) id: 240037f69d (このIDを非表示/違反報告)
エリカ - あ、やっぱり!零君愈史郎君に似てると思った!面白い!! (2020年4月15日 14時) (レス) id: 240037f69d (このIDを非表示/違反報告)
yurirol0305(プロフ) - 宇宙さん» ありがとうございます!!とても嬉しいです! (2020年2月1日 17時) (レス) id: 9e39a449bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:yurirol0305 | 作成日時:2019年10月24日 22時