糖分68% ページ19
.
いつものように仕事に向かう実弥を見送る為に玄関まで出る。
Aはどれだけ忙しくても見送りを欠かさない。
何故ならこの「行ってらっしゃい」が最後になるかもしれないから。
いつものように、実弥を見上げて行ってらっしゃいと言うのだが、Aの内心は全然いつも通りではない。
姉に言われた行ってらっしゃいのちゅー。
心臓はバックバク。
ワタワタしているうちに実弥は家を出て行ってしまいそうになって、慌てて呼び止める。
『さ、実弥さん、待って！』
実「ん？どうしたァ？」
振り返る実弥の羽織の裾をきゅっと握ってキスをしようとするのだが、実弥の身長が高すぎて届かない。
『あ、あの、少し屈んで貰えますか？』
実「あ、ああ。」
実弥は訳が分からない、といった様子で言われたとおりにする。
目の前に実弥の顔が来て、更にドキドキしてもうどうにかなりそうだが、ここまで来たら勢いだ。
目を瞑って実弥の唇と自分の唇を合わせる。
そっと離れて実弥の様子を伺うと、固まってしまっていた。
『え、えと、実弥さん？』
やった後で更に恥ずかしくなって、真っ赤な顔で問うと、はっとした様子で我に返る。
実「お前、い、今の、」
『その、行ってらっしゃいのちゅー、です。』
俯いてそう答えると、しばらくの沈黙が。
ダメだったかな、と不安になってちらりと見上げると、実弥と目線が合う。
その瞬間、ばっと目を逸らして顔を覆う実弥。
実「だーもう！見んなァ」
しかし隠しきれていない耳は真っ赤で。
実「んなこと誰から教わったァ」
『あ、姉が、受け身なままだと飽きられるって。』
そう言うと、実弥はAをぎゅーっと抱きしめた。
実「飽きるわけねェだろ…」
けど、と続ける。
実「今の、可愛かった。」
『えっ』
お互い真っ赤で、姉に言わせれば、なんでキスひとつでこんなんなるんだよ、と言わんばかりの甘々である。
それほどに、Aからこういったアクションを起こすことが今までなかったのだ。
実弥は火照った顔を仰ぎながら、走って任務に向かっていった。
相変わらずAの目では追えず、風圧だけが残る。
Aは顔の熱を振り払って、屋敷の掃除を始めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1354人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぴろぴろ - 夢主の誕生日と私の誕生日同じで草 (2021年4月1日 13時) (
レス) id: 65d47dc8e6 (このIDを非表示/違反報告)
ロロ天Runa - 玄弥と絡みたかったけど！良い！あれデスね、神作を作る程度の能力ですね、うん、はい (2021年3月9日 15時) (レス) id: e8de5457df (このIDを非表示/違反報告)
エリカ - 面白かったです！また更新されるのを楽しみにしています！頑張ってください！ (2020年4月15日 15時) (レス) id: 240037f69d (このIDを非表示/違反報告)
エリカ - あ、やっぱり！零君愈史郎君に似てると思った！面白い！！ (2020年4月15日 14時) (レス) id: 240037f69d (このIDを非表示/違反報告)
yurirol0305(プロフ) - 宇宙さん» ありがとうございます！！とても嬉しいです！ (2020年2月1日 17時) (レス) id: 9e39a449bb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：yurirol0305 | 作成日時：2019年10月24日 22時
