糖分47% ページ47
.
そんな時に出会ったのが、実弥さんだった。
ぶっきらぼうで、最初は警戒されていたほど。
そんな彼に、私は恋に落ちた。
彼といる時間だけは、昔の事を忘れられた。
幸せになっていい気がした。
お母様の言っていた、人を好きになるというのはこういう事なのかと、そう思った。
この人が私の王子様になってくれたらと。
でも、それももう叶わないわ。
きっと私は、この屋敷から出ることはもう出来ない。
屋敷で働く人を見る度、あの光景が思い出されて胸が痛い。
けれど、そこから逃げることはもう許されない。
姉さんや、実弥さんと過ごした時間は、忘れられるものでは無いけれど。
それでも、忘れなければならない。
ああ、私何も返せてない。せめて最後に、ありがとうと会いたかった。
せめて最後に、実弥さん、愛していますと…
.
ドタドタと走る音が聞こえ、私の為に用意された部屋の襖が勢いよく開く。
振り返ると、そこには息を切らした、最愛の弟が立っていた。
零「ねぇ、ちゃん…?」
『零……』
私がそう応えると、零は駆け寄ってきて、そして私を抱きしめた。
零「今までどこいってたんだよ!?どこに…」
『ごめんなさい。あなたの邪魔になると思ったんです…』
零の肩は震えている。
零「邪魔って…そんな訳ないだろ!?俺の、俺のたった1人の家族……」
それから零と色んな話をした。
出来たお友達の事や、甘味処の事。優しい姉と、実弥さんのこと。
零「…よかった。姉ちゃんは幸せだったんだね。まぁ、その実弥って奴は気に食わないけどさ。」
『はい。とっても、とっても幸せでした。』
そう応える私に、
零「………帰りたい?」
零はそんな事を言った。
『…………帰りたい。』
ぽつりと呟く。
『帰りたい、帰りたい!屋敷で働く人を見る度頭が痛くなるんです!もう昔の皆は戻ってこない!その事を、実弥さんといる時だけは忘れられた…』
零の切ない顔。ごめんなさい。ごめんなさい。わがままばかり。
私は貴方の家族なのに…
零「…そうだね。じゃあ…」
零が頷きかけた時、
「零様、何を言っているのですか。お嬢様を帰すわけには行きません。」
わたしをここまで連れてきた、あの男の人が入ってきた。
868人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ロロ天Runa - ヤバッ、、、!最高ですね、はい、更新がんばってくださいね!!応援してます!! (2021年3月8日 20時) (レス) id: e8de5457df (このIDを非表示/違反報告)
yurirol0305(プロフ) - なしなつさん» 私も実弥さん最推しです!! (2019年10月31日 20時) (レス) id: 9e39a449bb (このIDを非表示/違反報告)
なしなつ - ハァァァァ尊い…!!不死川好きだわぁ… (2019年10月31日 20時) (レス) id: 737edd5ad9 (このIDを非表示/違反報告)
yurirol0305(プロフ) - 月さん» ありがとうございます!好きだと言っていただけて、嬉しいです! (2019年10月24日 0時) (レス) id: 9e39a449bb (このIDを非表示/違反報告)
月 - この作品が好きです。頑張ってください! (2019年10月23日 22時) (レス) id: 72108a1f6d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:yurirol0305 | 作成日時:2019年9月29日 23時