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岳side
しばらく宇髄と待っていると医者が出てきた。
「治療は終わりました。まだ安心は出来ませんが一命は取り留めました」
「おい、医者。Aの所へ行かせてくれないか」
きっとこれが最後…
せめて一目でも会いたいんだ
「胡蝶、俺からも頼むわ。こいつをAに会わせてやってほしい。」
「…はぁ…分かりました。その代わり部屋の外で宇髄さんが見張っていてくださいね」
まさか通してもらえるとは思わなかった。
今まで会ってきた鬼狩りはみな頭の固いやつばかりだったから。
案内された病室は日の当たらない所だった。
きっと宇髄が頼んでくれたのだろう。
ベッドに横たわるAの姿はとても痛々しく小さく見えた。
「A…」
握った手は温かくて安心する。
『んっ…岳!いっ…』
「ダメだ!まだ寝てなきゃ!」
まさか目覚めるなんて…
驚いていたらAは泣き出した
『ごめん…ね…。私のせいで…岳は…』
ハッとして足元を見ればもうなかなか消えている
「Aが無事で何よりだよ」
『でも岳が無事じゃなきゃ…』
「俺のことは気にするな。俺に約束して欲しいことがあるんだ」
『なに?』
「それは2つ。1つは毎日楽しく生きること。
せっかく普通の女の子になったんだから日々を楽しんで生きてほしい。
もう1つは宇髄と最後まで仲良く過ごすこと。
あいつはああ見えても結構良い奴だ。俺をここに入れるのを手伝ってくれたのもあいつだった。宇髄ならきっとAを幸せにしてくれる。だから宇髄を信じろ」
『わかったよ…』
「よし、今までありがとな。じゃあお別れだ」
『待っ…』
「好きだよA。お願いだから早く来るんじゃねーぞ…」
俺は手刀でAを気絶させた
もう消えるのがわかる。みっともない所は見せられないからな。
「おい宇髄」
「…もういいのかよ」
「あぁ。俺はもう消える。Aの事泣かせたら地獄に引きずり込むからな」
「んな事しねぇから安心しとけ」
「幸せにしなくても地獄に引きずり込む」
「そんな地味な事もしねぇよ」
「ならいい。
今までありがとな。あとは頼んだぜ
そして俺はこの世から消えた
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作者名:yuririn | 作成日時:2020年4月9日 1時