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第153話 ページ25

「アンタはリリアン・ワインバーグじゃない」
ほぼほぼ偽物ということがバレかけゲンは思考を巡らせた。
ニッキーのガチファンさに舌を巻きつつ歌を流すことも考えたがかえって本物と偽物の違いに気付きかねない、どうする……と詰みが見えてきたその時千空がレコードに手をかけた。
「レコード行くぞ
ぜんまいで音質も上がってんだ
ハッタリより科学に賭ける」


「音楽……?」
電話の向こう側から聞こえる聞き間違えるはずのないメロディー。
聞こえるその歌声は確かにリリアン本人の歌声だった。
目には見えないけれどニッキーにはステージ場に立って歌っているリリアンがはっきりと目に映った。
「ああ、本物だよこの歌だけは……」
何十万回も聞いた曲、リリアンの歌声。
聞き間違えるはずもない、と思うのと同時にニッキーは悟り涙を流した。
もうリリアンはこの世にはいない、とー。
そう言うニッキーは千空は、ああ、と答えた。
「でもあんたが復活させてくれた
この歌の中だけではずっと生きてる
これは科学の質問だよ
あんたの力なら他のリリアンの曲も復活させられるのかい……!?」
チャンスと言わんばかりにゲンは小声で肯定するようにと答えるように言うも科学にだけは嘘をつけない千空。
案の定当然塵に還って無理だな、と即答した。
しかし。
「テメーに約束してやれんのは一つだけだ
この最後の歌だけは俺が必ず護ってやる
科学の力で……!」
もう他のリリアンの曲を二度と聞けないんだな、と寂しく思いつつニッキーは千空という人間を少し理解した。
「あんたも不器用だね、すぐに分かるよ
科学にだけはウソをつかない
信じるものがあんだね」
そしてニッキーはこう言った。
「フフフ、ちょっと惚れそうだよ」
「それはまじでやめろ」

「危なかったな、競争相手が増えるところだったぞ」
「……仮に増えたとしても別に関係ないと思うけど……」
別に思うところがなかったわけではないけれどAは千空の反応の方が引っ掛かった。
「分かっちゃあいるけど全力で嫌がられるのを見るとほんとに脈ないなって思うね」
「脈がない……!?…………なんだ、A生きてるじゃないか、冗談はよしてくれ」
ほっと胸を撫で下ろすコハクにAは違う違う、と日本特有の意味合いを伝えつつ苦笑いしたのだった。

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こよ - めちゃくちゃ面白くて一気に読んじゃいました!心から更新待ってます! (6月9日 12時) (レス) @page23 id: 9ce158e218 (このIDを非表示/違反報告)
るう - 全部読んできました!!本当に面白かったです(泣 更新待ってますっ!! (2022年8月21日 21時) (レス) @page13 id: 873835901b (このIDを非表示/違反報告)
翔菜(プロフ) - 更新待ってます❕ (2022年3月6日 8時) (レス) @page5 id: 288501894e (このIDを非表示/違反報告)
八つ橋 - こんばんは、更新ありがとうございます。相変わらずコロナウイルスが流行っているのでお身体にお気をつけて下さい。 (2022年3月3日 0時) (レス) id: ed846143d9 (このIDを非表示/違反報告)
八つ橋 - こんばんは、更新ありがとうございます。最近コロナウイルスが流行っているのでお身体にお気をつけて下さい。 (2022年2月3日 23時) (レス) @page3 id: ed846143d9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:メクルクル | 作成日時:2021年10月16日 18時

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