【短編集の様な】ネタ帳 (ページ7)

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愛あい ( ut? ) ページ7

「ねぇ、グルッペン、助けて。」
「は？お前大先生はどうした」

「もう無理なの」

まるで外さなかった“大先生からのプレゼント”の指輪を外す。

決して結婚している訳ではないので小指だが。
それでも嬉しいと感じたことは覚えている。

浮気浮気で愛してるよ、なんて甘い言葉を囁くあの人。
『Aちゃんが一番やから』なんて。いったい何百回言ったのかも分からない。

「助けるというか匿ってよ。グルッペンが無理ならトンちゃんのとこ行くけど。」

ひとつため息を吐いてドアを開けてくれるグルッペンはなんだかんだで優しいな、と思う。
やはり部屋は片付いていて、大きい。

まあそれなりに稼いでいるのだろうから当たり前っちゃ当たり前なんだけど。

「とりあえず話だけは聞いてやる」
「ありがとう。でも耐えきれなかっただけ」

デスク用のチェアに座りまたため息をつくグルッペン。
私もそこにあったソファに腰掛け、この先どうしようか考える。

グルッペンだって忙しいわけだし、それは他の人でも変わらない。

親戚は少ないしまず遠い。いないわけじゃないけど、あまり好かない。
親戚の家へお世話になるくらいならホテルにでも泊まって色々済ませたほうが断然いい。

「これからどうするんだ」
「んー、一応ねトンちゃんかグルッペンとこ泊めてもらおうと思ったんだけど、やめようかな」

半分嘘で半分本当。やめるつもりはサラサラない。本音を言うと女一人を1日くらい泊められるだろうと考えている。

グルッペンとトンちゃんには甘えすぎているんだ。

「いいぞ。」
「え？」
「一晩だけだ。客人用の布団はあるから心配するな」

すくっと立ち上がり布団を取りに行くグルッペン。
こんな人と付き合ってたら変わってたかもな。

別所では一人タバコを吸う碧。