消えた彼女ともう一度。【ユーリ!!! on ICE】

第２７滑走 ページ29

「お前も泣くんだな」





この声は





「ユーリ……?」






え、え、いつか居たの?!全然気がつかなかった





「あー…えと……」





あ、そうだ



私泣いてるんじゃん






ユーリに泣いてるところ見られた?






急いで目元を手の甲を使って擦る





「バカ、赤くなんだろ」




ｼｬｯ





「ぇ…ｯ」






リンクに足を踏み入れたユーリは近くに来て、自分のパーカーの裾を使って優しく目元を拭いてくれた






「ご、ごめん!服が…!」




「気にすんなよ、それより目がはれられた方が俺が泣かせたみたいになって困る」





そう言ってふいっと顔を背けるユーリ



あぁ、ユーリは昔から涙に弱いよね






「えと、どうしてここに…?」



「たまたま、俺も練習したくなっただけだ」



「ぁ!ごめんね!いいよ使って使って」






そう言ってリンクサイドに向かおうとした時






「てめぇもここで練習すんだよ、ｳﾞｧｰｶ!」





そう言って腕を掴まれ引き留められてしまった






「…いいの?邪魔にならない??」




「なんねぇよ、それにお前だって大会近いんだろ」





「練習しねぇでどーすんだｱﾎ」っとチョップを食らう





「ｲﾀ! ちょ、チョップはひどくないかな!?」




なんてわざと怒ったふりをしたら、ユーリは少し目を見開いた後クスクスと笑って




「ハムスターかよ」





そういって膨らむ私の頬を突いた





「なぁっ…!」






ユーリに肌をふれられたのが懐かしく、久しぶり過ぎて顔が熱くなる




ヤバい、嬉しすぎる



今ならクワド飛べそうだ。






「しっかし、お前普段そんなに感情豊かなのになんでスケートになると人形見たくなるんだよ?」


「!!!」








あぁ、さっきのステップシークエンス見られてたのか



その前の奴は見られてなかったかな









「…全部、そう言う感情昔に捨てちゃったのかもしれないな」








詳しい事は話せないけど、でもこうしてユーリと話すきっかけがあるなら









「私、もうスケート向いてないのかもしれない」









少しくらい、話してもいいよね?

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