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どうしてそんな事を言うのか
「そんなふうに思ったことないよ 毎日楽しかった」
「やっぱり、今日で終わり…?」
任期のことを言っているのだろう
規則に習えば、主人が成人するまでだから明日から俺は蒼弥の傍に居続ける必要は無くなる
「俺と離れるの嫌?」
そっと頭を撫でてやれば やだ って呟いてうるんだままの瞳で見上げてくる
もう蒼弥の言葉に従う必要はないけれど、主人は主人
なにより、こんなに可愛いのに一瞬でも任期の終わりなんて考えた俺が愚かだった
「俺と一緒に居たい?」
「ずっと、一緒がいい」
恥も捨てて気持ちを伝えてくれる彼が心底愛おしくて
「じゃあ蒼弥のママにお願いしよっか」
途端に嬉しそうに顔を綻ばせた蒼弥の手を再度握って帰路につく
『おかえり 2人とも 遅かったわね 大丈夫?』
「ママ、あのね、俺」
蒼弥のお母さんは、俺らが手を繋いで帰ってきたことに気がついて何かを察したように微笑んだから、きっともう答えは聞くまでもないかもしれない
一生懸命、俺とのこの先について話してる蒼弥
繋いだ手にぎゅっと力が篭っている
「俺…、さくまと一緒にいたい」
蒼弥のお母さんがぎゅーって彼を抱きしめて
「え、なに ママ…?」
『そう言うと思った 。私から龍斗くんのご両親にもお願いしてあるから、蒼弥は龍斗くんにこれからも傍にいてくれるようにお願いしなさい? その様子だともう話は済んでるみたいだけど』
俺に笑いかける蒼弥のお母さんにはなんでもお見通しみたいだ
その日の夕食で両家の両親から承諾をもらった俺たちは、任期関係なく一緒に過ごすことを許された
夜 いつもの様に彼の部屋のベッドメイクをしていると
何かが後ろからトンっとぶつかってきて、振り向くと
お風呂上がりの蒼弥がいた
「風邪引きますよ 髪乾かしましょ」
いつもの癖で敬語が出てしまったことにちょっと怒りながら、
「そんなの後でいいの!あと敬語やだ」
整えたばかりのベッドに座るよう促される
「…どうしたの」
「いいの」
上体を起こして座る俺の太腿に跨るようにしてきて目を合わせてくる
「あ、そういえば この先 主従関係なしにしてもいいし、そのまま今みたいな状態継続でもいいって どうしますか?」
「そんなのなしに決まってるじゃん だから敬語もやめて!」
とにかく敬語を使われることが嫌みたい
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作者名:あいと | 作成日時:2022年9月29日 23時