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「おれも、すきだよ」
「いつもそんなこと言わないのに
色恋に営業変えた?」
リア恋といっても作ちゃんは俺との間に自然と線引きしてるから、自嘲気味に笑う姿に胸が痛む
なんで伝わらないんだろう
ファンの女の子が望む言葉ならいくらでも言ってやれるのに
ほんとに好きな人前にしたら、こんなにも言葉が出てこなくなるなんて
「...ちがう、 ねぇ作ちゃん ...んっ、」
ちゃんと好きなんだって伝えようとしたら頬に柔らかい感触
「っあ、ごめ、 やだったよね ごめん、ほんと ごめん...」
やじゃない むしろ嬉しい
そんな気持ちが伝わるようベッドの彼にくっついた
「おれね、最初変な子だなって思ってた
たまたま会っただけなのにイベントにもライブにも来てくれて、初めてなのにチェキ50枚とかどうかしてるーって」
俺の頭を撫でながら優しく相槌をうってくれる
「でもさくちゃんかっこいいから、物販で一緒に並んでる女の子に声掛けられるでしょ
それ見るのやだなあって思ったの
女の子に嫉妬した
さくちゃんは俺に惚れてるの!俺のなの!って」
「そうだよ 俺そうやしか見てないからね」
「作ちゃんみたいに好きって言ってきたわけじゃないから信用して貰えないかもしれないけど、」
そこまで言いかけたところで口を塞がれた
「...それ以上言ったら、もう普通のファンとアイドルじゃいられなくなっちゃうよ」
こんな時まで冷静なのやめてよ
「おれはっ、作ちゃんのこと もうファンの中のひとりとしてなんか見れないっ、」
俺だけ感情的になって恥ずかしい
気付けば、いつの間にか起き上がっていた作ちゃんに抱きしめられていた
「やっと落ちてくれた」
「んうぅ」
「好きだよ そうや」
「おれも、さくちゃ すき...」
アイドルの俺と、俺のファンだった君が結ばれた夜
〜〜〜
「何枚買ったの、」
「えーと、200?
この前体調悪くて来れなくてさみしい思いさせちゃったし」
「ねええ、そんな買わなくていいから!
これにお金使わないで一緒に旅行とか行こうよ、てかもう物販来なくていいって俺言った、!」
「それは無理だって俺そうやのヲタクだもん」
「なっ、ねえりゅうと!」
「はい、そうや カメラに向けてにゃんってして」
「...なっ、!」
「せーの、」
「.....にゃんっ、」
「...っ、かーわーいい!!!」
end
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作者名:あいと | 作成日時:2022年9月29日 23時