ホンキス*2 nino (ページ10)

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45.今日はこの辺でページ10

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また、二宮さんの手が私の前を横切る。

「なっ……」

え、し、なっ！
ちょ、ちょっとっ！

いきなり伸ばされた二宮さんの手が、フォークを持つ私の右手ごと持って

そこに乗っかってた一口分のチーズケーキを
……食べた？

「…やっぱ、甘いな(笑)」

で、デザートですから！
チーズとはいえ、ケーキですから！
あれ、この突っ込みは合ってんのかな…じゃ、なくて…

飲みかけのかなりぬるくなったビールで
間接キスなんて無駄な変換をしてバクバクなってるうちに
食べかけのチーズケーキを奪われて…。

チーズケーキ…。
お皿にまだ、残ってる。
これ、どうしたらいいんだろう。

同じフォークとか、無理だ無理無理。

……食べらんないよ。

フリーズしてた私。

「オレンジ、美味しいよ？(笑)」

なにしてるんですか？
持ったままのフォークにオレンジを刺して
私の目の前でぷらぷらさせる。

「ほら、どうぞ？」

「じ、自分で食べられますっ…」

二宮さんからフォークを奪い取って、オレンジを食べた。

「あ、おいしい」

さっぱりとしてて、美味しい。
とっさに私から出た言葉を聞いて二宮さんは、「くくっ(笑)」って笑った。

もう、完全に二宮さんのペースになっちゃってるじゃん。

私の無駄なスペックも
となりで面白そうに笑ってる二宮さんも

二宮さんの思い通りと思うと……はぁ。

「……二宮さん？」

「なに？(笑)」

なにがそんなに愉快なんですか？

「そういうの、誤解されますよ？」

冷静になれって、私。
この人は、こういう感じを楽しんでるんだから。

「誤解？(笑)」

ほら、ずっと笑ってるのが、もうさ？

「気を持たせる行動だって、言ってるんです」

飲みかけのビールを飲んじゃうとか
私の前を斜めに横切る腕とか
私の手ごとフォークを持って食べるとか、食べさせるとか

無駄にイケメてる…やわらかい笑顔、とか。

「誤解してくれて、かまわないんだけどな。Aちゃん、なら(笑)」

あーもうっ！

そんなこと言って。
合コンでみんなに「キスして」とか、言ってるくせに。

私になら？
はい？

個別感？
Aちゃんならって特別感を出されたことに

「誤解するようなこと、言わないで下さい」

もう、これ以上は自信ない。

黙り込んでしまった私の頭をぽんぽんってして

「今日はコレくらいにしておきましょうか」

そう言って、二宮さんが席を立った。