ホンキス*2 nino (ページ29)

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64.ぴろりろりろんが聞こえない　*12/4 ページ29

「コンビニまで行くわ。タバコ買いたいから」

さっき握りつぶしたタバコの箱をひらひらと認識させるように振って
「コレね？」って、笑う。

「じゃあ……一緒に。私、コンビニのすぐ裏なので」

「ん、じゃあ、行こうか」

少し前を二宮さんが、歩く。
ちょこっと背中を丸めて。

さっきまでキスキスって言ってた会話が嘘みたいに
どうでもいいような話ばっかりになって

それでも
なんの会話もできないよりマシと思ってしまう。

しばらくそんな感じで歩いてくると、一気に蛍光灯の光で明るくなった。
コンビニの前で二宮さんが立ち止まる。

時間も時間なのに結構な人がコンビニの中にいて
ちょうど入ってきたトラックからたくさんの商品が台車に乗って店内に入っていった。

そこで二宮さんはコンビニに入っていくんだろうなって
私は「じゃあ、ここで」と言うんだろうなって思ってた。

ぴろりろりろんと
人が出入するたびになる入口のお知らせチャイム。

二宮さんが入って行ったら
同じ音がするんだろうなって

なかなか鳴らないぴろりろりろん。

「あの、二宮さん？」

「ん？」

「コンビニは？」

「ああ、行くよ(笑)」

「……じゃあ……」

ここで。

そう言う前に

「んーっと…角まで、行くわ。ほら、時間も時間だし、ね？」

「本当にすぐ裏ですよ？」

「コンビニの周りって、変なヤツ多いよ？意外とさ」

って、オレが変なヤツになったりする？なんて
口角をあげて笑うから

私もなんだかつられて笑う。

今日で終わらないって、ほっとして。

ほっとして、思わず笑った。