ホンキス*2 nino (ページ27)

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62.沈黙の行方ページ27

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「二宮さんの恋愛感ってか、その、それに対する思いは分りました」

「それって？ああ、キスのことね？(笑)」

「そ、そんなにさらっと言葉にしないで下さい！」

「変に伏せて話すほうが…やらしー感じになんない？(笑)」

キスキスキスって連呼する方が、どうかと思いますけれど？

くくっ(笑)って、笑われた。
私の反応が、そんなに面白いのかなぁ。

普通に動揺するし、普通に……

二宮さんは、タバコを咥えながら両腕をうーんって上に伸ばして
そのあとふうって脱力する。

しばしの沈黙。

ライターの音もしないし、二宮さんも私もしゃべらない。
その沈黙は、決して気まずい感じじゃなかった。

この人のこういう雰囲気って、不思議。

しゃべらなくても気まずくない
それが自然な空間と思える雰囲気が、不思議。

隣の二宮さんがすぅっと息を吸う音が聞こえた。

「自分から言ったのは、Aちゃんだけ、だよ？」

大きく吸った息を吐き出しながら、私の耳に届いた言葉。

どきっと胸が音を立てた。
少し低くて
少しゆっくりな声に。

「それをして？なんて……言ったの、さ？(笑)」

さっきの揚げ足を取るような
キスをそれって変換した言葉は
いつもどおりの二宮さんの声といつもどおりの『カッコ笑』

それって？

わかんない。
ぴったりなキスが、私だったらいいなって、こと？

キスして確かめたくなる気持ちを
私に抱いたってこと？

単純にキスしない私が面白いから？

また、しばしの沈黙。
二宮さんの言葉が、分かるようで理解できてない。

でも、沈黙して考えてる時間も
やっぱり嫌な沈黙じゃない。

また、二宮さんが沈黙を破る。

「Aちゃん、キス…して？」

何度目かの言葉。
であったあの日から、何度か言われた言葉。

この言葉の投げかけに
私は沈黙のままいるわけにはいかないんだろうな。

二宮さんの言葉に
理解できないことも多いけども。

嘘とかその場しのぎとか
そんな響きは、私は感じなかったから。

すうっと私も大きく息を吸った。