ホンキス*2 nino (ページ14)

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49.口元の意識ページ14

「そんなにへんなこと言ったっけか？」

へんです。
かなり、へんですから。
自覚ないんですか？

初対面で無関係な人に言うセリフじゃ……。

ふわっと窓から風が流れ込む。

「キスして？」

二宮さんの声に、胸が縮む。

痛いくらいにドキドキして
痛いくらいに胸が、縮む。

瞬きが、できない。

運転手はいろいろと後部座席の会話を聞いてるんですよ。

ぜんぜん関係ない、第三者がいるんですよ？

冷静に考えれば、そう、ほら。
周りの目を気にしたりもするものだよ。

な、なんで今…言い出すんだろう。

運転席に目をやると一瞬、運転手とミラー越しに目が合ったのが、ばつ悪く
ミラーから目を離して、少しだけ下を向いた。

二宮さんの首がゆっくり傾いて
すっと自分の唇を指でなぞってから目を細める。

えっ……。

えっ？
ここで？

はい？
もう、いろいろわかんないよ。

もう一回二宮さんは唇をなぞって
視線は私に帰ってくる。

「…って、言ったこと？」

……。
はい？

首を傾けて、唇を意識させて…目を細めて…。

キス、されるのかと思った。

こういうこと、が。
こういうこと、に、対応できないから

逃げたくなってしまうんだ。