赤と黒と人形少女【wrwrd!】【gr】 (ページ9)

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第6話｢夢から覚めたくない｣ページ9

A視点

長い夢の中をさまよっている

誰かを探して

誰かを求めて

一体誰を探しているのかは分からない

一体誰を求めているのかは分からない

ここがどこなのかも

ここがなになのかも

私には何も分からない

なにかわかってもすぐに消えていく

掴めそうで手を伸ばしても掴めない

それはまるで雲のよう

それはまるで霧のよう

何を意味しているのかも分からない

ふわふわとする感覚が無くなる

夢から覚める

夢から覚めてはならない

辛い現実が目の前にある

いやだ、”あんなこと”もうしたくない

もうされたくない

重い瞼からうっすらと光が入ってくる

あぁ、覚めてしまう

もう少しだけ幸せに包まれていたかった

もう少しだけ夢に入り浸っていたかった

さっきまで重かった瞼が嘘のように軽く感じる

｢………。｣

見覚えのない白い天井

臭ったことの無い、鼻にツンとくる匂い

そして、感じたことの無い重さ

ここはどこ？

そんな疑問符が頭の中にいっぱいになる

？？｢あ、起きたんですか。ちょっと待っとってください。誰か呼んで来ますから。｣

視界の端に映っていたものが動いた

それは私の顔を覗くように見てくる

紫と白のヘルメットにゴーグル

まだどこか幼さが残る顔立ちの青年

その青年の髪色はとても淡く、綺麗な栗色だった

少しつり上がった紫色の瞳でこちらを見る

思わず見とれてしまいそうなほどの美形だったがそんなことをしている場合ではないということを思い出す

｢あ、あの。ここはどこなんですか？｣

？？｢ここっすか？ここは｢家｣って言う俺らの基地ですわ。｣

｢家｣？この建物のことを言っているのか？

基地とも言った。ということはここは軍の基地。と言ったところだろうか？

私が少し起き上がろうとすると青年が静止してくる

？？｢まだ寝とってください。まぁ、約5日も寝とったらからしんどいかもしれんけど。｣

｢え？あ、はい。ごめんなさい。｣

私の記憶があるのは塔を出た後に走り続けて荒野のどこかで倒れたところだ

それ以降の時に誰かが私を見つけ出してくれてここまで運んできてくれたのだろう

なんて頭の中で考えていたら青年が扉を少し開けて廊下の方を見る

目上の人だったのか彼の素がそもそもそうなのか分からないが敬語(？)のまま話して誰かが部屋の中を覗くとその人が驚いた様子で走って出ていった

それでも、私の上に誰かが乗っているのだろうか

少しだけ重いものがある気がする