甘えたい ページ7
・
ヘトヘトになった身体を引き摺るようにして高専の敷地内を歩く。何と今日は任務をハシゴしたのだ。あの白髪頭絶対に許さない、と心の中で毒を吐いた。
「あれ、A先輩じゃん」
「どーしたの、なんか老けてない？」
一年ズだ。何やら話し込んでいた三人が一気にこちらを向く。ま、眩しい。たった一年違うだけでこんなにもハリが違うのか…
「この人任務梯子してたんだよ」
「何で知ってんの恵、もしかして私のことが好きすぎて予定全部把握してるとか…」
「んなわけねぇだろ」
正直な所今すぐここで眠りたい。が、せっかく恵や一年の二人に会ったためさっさと帰る気にもならなかった。
「俺が行く予定だった任務が五条先生の気まぐれでAさんに割り振られた」
「伏黒のせいじゃん」
「責任取りなさいよ」
え、マジ？疲れで会話に入ることができないが、一応心の中で驚いておく。恵のせいっていうか、全部五条先生のせいな気がするけど。悠仁と野薔薇から口々にバッシングを食らった恵が、バツが悪そうな表情をする。
「じゃあさ恵、私を部屋まで引き摺ってってくんない？」
「わかりましたよ」
お姫様抱っことか求めないから。そうダメ元で提案すると、意外な答えが返ってきて。え？と固まっているうちに抱き抱えられた。
「ひゅー、伏黒やるぅ」
「Aさん襲ったら承知しないわよー」
「お前らは黙っとけ」
ちゃんとお姫様抱っこじゃん!!密かにそう叫んで恵を見つめた。やばい、下から見てもかっこいい。五条先生、白髪頭とか言ってごめん。この恩は忘れない。だからって恩返しする訳じゃないけど。
「着きましたよ」
「ちょっと待って」
私を部屋の前で下ろし、さっさと回れ右しようとする恵の手を掴む。まだ何かあるんですか、と眉を寄せた恵に上目遣いを発動した。
「疲れたからハグして？」
「何言ってんですか」
「いーじゃんお願い！」
今の恵はいつもの倍押しに弱い。そう判断した私のとにかく押せ押せ作戦である。いつもこんな感じ？そんなことないよ。
「一瞬ですよ」
無言で悩んでいた恵が、仕方ないと私の腰に腕を回した。ふわりと恵の匂いが鼻を掠めて、優しい温もりに包まれる。そしてすぐにその腕は解かれてしまった。
「ねぇ、もうちょっと」
「嫌です」
視線を背けながらそう断られ、唇を尖らせた。もうちょっと甘えたかったな、なんて。でも恵がここまでしてくれる方が珍しい。欲張っちゃいけない。
「わかったよ、運んでくれてありがとね恵」
バイバイ、と手を振りながら部屋へ戻ろうとすれば、今度は後ろから恵の腕が回された。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 257人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
眠民。_ねむみん。 - 伏黒君推しというわけでは無いのですが、作者様に書くお話が本当に大好きです!!無理しない程度に頑張ってください!応援してます、大好きです!! (11月4日 10時) (
レス) @page16 id: 03ba19f866 (このIDを非表示/違反報告)
無名(プロフ) - ぽんかんさん» またまたコメントありがとうございます😭ほぼ現実逃避のために書いている作品なので私も生きている限り書き続けたいと思っております！伏黒くんと並べるほど好きだと言って頂けて…嬉しくてないてしまいます、これからもよろしくお願いします♡ (9月3日 0時) (レス) id: 97c232aa64 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんかん(プロフ) - 本編で永遠にくっつきそうでくっつかない距離感を愛でたい趣旨のコメントをした者です！本編がどうなろうとこちらは永遠にこの世が終わるその時まで連載していたらいいなと思います！！！！応援してます大好きです！！伏黒恵と同じくらい作者さんのお話が大好きです！ (9月1日 22時) (レス) @page15 id: f2701b6134 (このIDを非表示/違反報告)
無名(プロフ) - さくらさん» どちらもお読み頂けて嬉しいです💭恵くんと夢の国！ぜひ書かせて頂きます、素敵なリクエストありがとうございますт т ❤︎ (8月29日 22時) (レス) id: 97c232aa64 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 本編の方もこちらの方も愛読させてもらってます！☺️あのもしネタが切れたらでいいのですが「ディズニーランドに行ってみた」って感じのんもみたいです〜恵君とディズニー行きたいだけでs((殴これからも読みます！更新頑張ってください‼️ (8月28日 23時) (レス) id: b75e9c1e96 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：無名 | 作成日時：2023年8月27日 19時
