玉犬 ページ6
・
モフりたい。猛烈にモフりたい。五条先生の部屋で見ていためざましテレビのコーナー、朝のワンコ。大型犬が飼い主に撫でられて気持ちよさそうに目を細めている様を見せつけられた私は、早々に恵の元へと向かった。
「ねー恵、玉犬出して」
「嫌です、そうホイホイ出すような
「お願いモフらせて!ジャーキー持ってるから!」
「玉犬はジャーキー食わねえよ」
じゃあ恵を撫で回すよと脅せば、は?と一括されてしまった。流石元ヤン、圧が違うぜ。
でも私は諦めない。お願いお願いと纏わりつくように恵について行き、ちょっとでいいから、玉犬にも愛情は必要でしょ?と言いくるめる。
「…わかりました、授業までの間だけですよ」
「やった!」
折れた恵が影を作り玉犬を呼ぶ。すると二つのもふもふ…いや、二匹の玉犬が姿を現した。久しぶりの玉犬に思わず頬がゆるゆるになる。
「相変わらず可愛いねぇ、元気だった?おーよしよし」
「…声のトーンが違ぇ」
「恵をいつも守ってくれてありがとうねー、本当に偉いいいこだよあんたたちは」
耳を寝かせしっぽを振りながら喜ぶ玉犬。あー可愛い、なんて可愛いの。この感情を愛おしいと呼ぶのか。あぁ、なんて幸せな世界。
二匹の大型犬に囲まれた私は正に幸せの絶頂だった。奇跡的に敵対視されず懐かれている。良かった、恵が"アイツを見つけたら迷わず噛め"とか教育してないで。
「もういいですか」
「もう少し」
もふもふとした毛並みに埋もれる。こんなに可愛い生き物が呪霊と戦ってるなんて…私がこの子たちを守ろう。絶対に健やかに育ててみせる。なぜなら恵と結婚すれば私もこの子たちのと家族になるのだから。…何を言っているか自分でもわからん。
「あぁ!私の玉犬ちゃんたちが!」
そんな謎思考に陥った瞬間。玉犬が影になって消えてしまった。咄嗟に振り返り恵を睨み付ければ、もう十分でしょと返される。せめてバイバイって言いたかった。
「いいよね恵は玉犬好きなだけ撫で回せて」
「言い方」
「私も式神ほしい、可愛いイッヌを好きなだけもふりたい〜」
玉犬との別れが名残惜しくついそんな声を上げてしまった。そんな私の様子に深い溜め息をつきながら近付いてきた恵にハッとする。
「そうだ」
「今度はなんですか」
ニヤリと口の端を持ち上げた。訝しげにこちらを見つめる恵の頭に両手を伸ばし、わしゃわしゃと頭を撫で回す。
「急に何すんですか!!」
「私には恵がいるんだった♡」
「ちょ、マジでやめろ!!」
朝から高専に恵の声が響き渡る。今日も今日とて、平和な朝を迎えた。
・
257人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
眠民。_ねむみん。 - 伏黒君推しというわけでは無いのですが、作者様に書くお話が本当に大好きです!!無理しない程度に頑張ってください!応援してます、大好きです!! (11月4日 10時) (レス) @page16 id: 03ba19f866 (このIDを非表示/違反報告)
無名(プロフ) - ぽんかんさん» またまたコメントありがとうございます😭ほぼ現実逃避のために書いている作品なので私も生きている限り書き続けたいと思っております!伏黒くんと並べるほど好きだと言って頂けて…嬉しくてないてしまいます、これからもよろしくお願いします♡ (9月3日 0時) (レス) id: 97c232aa64 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんかん(プロフ) - 本編で永遠にくっつきそうでくっつかない距離感を愛でたい趣旨のコメントをした者です!本編がどうなろうとこちらは永遠にこの世が終わるその時まで連載していたらいいなと思います!!!!応援してます大好きです!!伏黒恵と同じくらい作者さんのお話が大好きです! (9月1日 22時) (レス) @page15 id: f2701b6134 (このIDを非表示/違反報告)
無名(プロフ) - さくらさん» どちらもお読み頂けて嬉しいです💭恵くんと夢の国!ぜひ書かせて頂きます、素敵なリクエストありがとうございますт т ❤︎ (8月29日 22時) (レス) id: 97c232aa64 (このIDを非表示/違反報告)
さくら(プロフ) - 本編の方もこちらの方も愛読させてもらってます!☺️あのもしネタが切れたらでいいのですが「ディズニーランドに行ってみた」って感じのんもみたいです〜恵君とディズニー行きたいだけでs((殴これからも読みます!更新頑張ってください‼️ (8月28日 23時) (レス) id: b75e9c1e96 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:無名 | 作成日時:2023年8月27日 19時