愛のフルコース【伏黒恵】

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「痛いとこついてくるねー、IPPON」
「なんでだよ」
「マジなのそれは!?」

キレる恵と共にそう叫ぶ。結局任務行かされるってことじゃん、めちゃくちゃやる気だったのに。もーいいや、適当にやろ。

「はい次二年ねー」
「話題になってた映画を見たけど言うほど面白くなかった」
「ツナツナ」
「せっかく動物園に来たのにパンダがいない」
「五時間並んだラーメンの味が微妙!!」

過去で一番思ってたんと違う！ってなったエピソード。それは、去年めちゃくちゃ並んでめちゃくちゃ楽しみにしてたラーメンが実は味薄くてあんまり美味しくなかったってやつだ。一生忘れられない。

「二年最初は真希！あるよねー、音楽が良くて過大評価されてる映画。JUPPON！」

これってセーフなのかな。まぁ確かに思い当たる節はいくらでもあるっちゃあるけど。映画の音源って人気が一人歩きしがちだよね。

「棘は今回も絵だね！なるほど、大好きな漫画の実写化が原作とストーリー全然違う…割と将来人のこと言えなくなっちゃうかもだから、NIHON」
「高菜…」
「急にメタいわね」

五条先生、よくわかったな。棘のスケッチブックを横目に感心する。にしてもこれもあるあるだよね、大人の事情で改変されまくっちゃう奴。あと大体キャストで揉める。

「さてパンダは、うーん、僕はほぼ毎日パンダ見てるから気にならないかな。HAPPON！」
「日頃からパンダ見てる奴の方が圧倒的に少ねーだろ」

やっぱり評価の基準わからないな。私はパンダいなかったらちょっとガッカリだけど。だってこのパンダと動物園のパンダ、ほぼ別物だし。

「最後にA！これアレでしょ、去年のやつでしょ。あの時のAの落ち込み方ったらなかったよねー、JUPPON！」
「まずラーメンのために五時間並ぶのがすげぇな」

よくわかんないけどこれで合ってるらしい。一巡して大体のルールは察した。お題に沿って大喜利(あんまり面白さは気にしなくていいかも)、それを五条先生が独断と偏見で評価。JUPPONが貰えればOKでそれ以外はノーカンって感じかな？

いや、何これ。結構意味わかんないかも。

「みんないいよー、Aも初参加なのにナイスJUPPON！さてさて、第二問！」
「これ何問あるの？」
「全部で三問のはずだ」

意外と少ないな。パンダの答えに拍子抜けしつつ、スケッチブックを捲る。

「学校一の優等生が退学！さて理由は？」

学校一の優等生が？？えー、何だろ。要するに優太が退学しちゃうってことでしょ…？ちょっと違う気もするけど。

なんかこう、微妙に難しいな。みんなの筆が進んでいるのを感じて焦りながら、私もペンのキャップを外した。


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