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Side松倉
元「俺もまつくと同じ部屋がいいー…。」
さっきまでのテンションが嘘みたいに悲しそうな顔で、元太が俺の背中を洗ってくれる。
いくら工夫をしても、みんなと同じにはできなかったこと。それが、寝る場所とお風呂だった。
クラスのみんなは和室で雑魚寝だけど、俺にはさすがに無理。だから、お風呂から上がったら俺は七五三掛先生と同じ部屋で寝る。
それならお風呂だけでも一緒がいい!っていう元太のわがままが通っただけで、十分奇跡だと思うんだけどな。
倉「元太だって、ずっと俺と一緒じゃ疲れるじゃん。」
元「なんで?一緒の方が楽しいじゃん!……ねえ、しめちゃーん。俺も同じお部屋がいいー!」
龍「無理―!」
少し離れた所で体を洗っていた七五三掛先生の声が、浴場に響く。みんなと別の時間にしてくれたお風呂は、俺と元太と先生しかいない。
元「ケチー!!」
元太が唇を尖らせたところで、タイムアップになった。先生が浴場から出ていく。この後先生が着替えを済ませて、俺を迎えに来るはずだ。
倉「…元太。今日、ありがとね。」
元「え、?……うわー、なんか恥ずい!」
元太が顔をそらした時、先生が浴場に入ってきた。照れていた元太も光の速さで着替えて、先生と一緒に俺の移動を手伝ってくれる。
元「…まつく、明日も楽しもうな。」
今日最後の元太の声は、泣きそうなくらい優しかった。気持ち悪いくらい細い俺の足に、元太の手の温かさがじんわりとしみ込んだ。
龍「修学旅行、どう?楽しい?」
部屋に着くと、先生が俺の髪を乾かしてくれた。シャンプーの匂いが、なんだかくすぐったい。
倉「うん…。でも、みんなにたくさん助けてもらっちゃった。」
龍「助けてもらうのは悪いことじゃないよ。俺も、色んな人に助けられてる。」
倉「先生も?」
龍「大人でも子供でも、誰だってそうだよ。大事なのは『ありがとう』をちゃんと言うことと、自分に優しくしてくれる人を大切にすること。」
大切にするって、どういうことだろう?
考えたけれどよくわからなくて、俺は黙って頷くしかなかった。
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おさと(プロフ) - ましろさん» ましろ様、こんばんは!なんて嬉しいお言葉…!本当に、本当にありがとうございます😭相変わらずダメダメな作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします。 (2022年10月9日 18時) (レス) id: d4db3ebcdb (このIDを非表示/違反報告)
ましろ - おさと様、本当に本当にありがとうございます!とってもとっても素敵です😭拙いリクをこんなにも素晴らしいお話にしていただけて感無量です...おさと様と出会えて作品を読ませていただけて幸せです...これからも作品を本当に楽しみにしています!大好きです!! (2022年10月8日 21時) (レス) @page25 id: 7d488f5410 (このIDを非表示/違反報告)
おさと(プロフ) - ぺえさん» ぺえ様、今回も素敵なリクエストをありがとうございました!いつもコメントありがとうございます。本当に励みになります😭よければぜひ、今後もお付き合いいただければ嬉しいです! (2022年10月5日 22時) (レス) id: 31d1894405 (このIDを非表示/違反報告)
ぺえ(プロフ) - リクエスト書いていただきありがとうございました!!おさと様の作品ほんとに大好きなので、これからも更新楽しみにしてます! (2022年10月4日 21時) (レス) @page24 id: 8c7e5fe0be (このIDを非表示/違反報告)
おさと(プロフ) - 〇〇さん» ○○様、コメントありがとうございます!嬉しすぎて、リアルに泣いてます😭良い実習となるよう、また目標のご職業に就けるよう心から応援しております!どうかお体に気をつけて頑張ってください!! (2022年10月1日 18時) (レス) id: 31d1894405 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おさと | 作成日時:2022年9月24日 20時