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Side閑也
保健室は、昼休みの騒々しさとは無縁の場所だ。心地いい静けさと紅茶の匂いに喉の栓が緩んで、俺は盛大にため息をついた。
龍「しず、うるさい。」
閑「うるさくねえだろ、こんくらい…。」
小学校教師として厳禁の“え言葉”を使えるのは、ここくらいだ。学生時代からの友人で、養護教諭のしめ……もとい、七五三掛先生と2人きりの今だけ。
龍「……悩んでるの?松倉くんのこと。」
閑「うん…。実際俺も車いすの子を引率したことなんかないし、自信持って『修学旅行行こう!』とは言えないんだよな…。やっぱさ、当日はお父さんにも来てもらった方が、」
龍「保護者の付き添いを参加条件にするのは、差別的取扱いです。…俺も協力するし、まずはちゃんと検討しなきゃ。」
だよなあ、とつぶやくと、しめがダメ押しみたいに大きく頷く。それとほぼ同時に、バタバタと大きな足音が近づいてきた。
元「吉澤先生、いた!」
閑「え、元太!?宮近、中村、…松倉も。」
驚きすぎて、呼び捨てにしてしまった。今年から、うちの学校も「さん」呼び統一になったのに。
元「ねえ、先生。助けて!」
閑「へ!?」
宮「車いすでも行けそうな観光スポットとかトイレとか、調べたいんだけど。でも、どうすればいいかわかんなくて…。」
状況が読めずにぽかんとしていると、松倉に袖を引っ張られる。
倉「先生。やっぱり俺、修学旅行に行きたいんです。元太たちと一緒に………先生にもみんなにも、迷惑かけるかもしれないけど。」
最高、と後ろから声がして、思わず振り向く。しめが満足そうに笑っていた。
閑「……よし。明日の朝、パソコンルームに集合な。先生とみんなで、一緒に考えよう。」
元「マジ!?」
海「よっしゃ!」
目の前の子供たちの顔が、生き生きと輝きだす。キラキラの笑顔を前にして、さっきまで怖気づいていたのが嘘みたいに気持ちが奮い立っていた。
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おさと(プロフ) - ましろさん» ましろ様、こんばんは!なんて嬉しいお言葉…!本当に、本当にありがとうございます😭相変わらずダメダメな作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします。 (2022年10月9日 18時) (レス) id: d4db3ebcdb (このIDを非表示/違反報告)
ましろ - おさと様、本当に本当にありがとうございます!とってもとっても素敵です😭拙いリクをこんなにも素晴らしいお話にしていただけて感無量です...おさと様と出会えて作品を読ませていただけて幸せです...これからも作品を本当に楽しみにしています!大好きです!! (2022年10月8日 21時) (レス) @page25 id: 7d488f5410 (このIDを非表示/違反報告)
おさと(プロフ) - ぺえさん» ぺえ様、今回も素敵なリクエストをありがとうございました!いつもコメントありがとうございます。本当に励みになります😭よければぜひ、今後もお付き合いいただければ嬉しいです! (2022年10月5日 22時) (レス) id: 31d1894405 (このIDを非表示/違反報告)
ぺえ(プロフ) - リクエスト書いていただきありがとうございました!!おさと様の作品ほんとに大好きなので、これからも更新楽しみにしてます! (2022年10月4日 21時) (レス) @page24 id: 8c7e5fe0be (このIDを非表示/違反報告)
おさと(プロフ) - 〇〇さん» ○○様、コメントありがとうございます!嬉しすぎて、リアルに泣いてます😭良い実習となるよう、また目標のご職業に就けるよう心から応援しております!どうかお体に気をつけて頑張ってください!! (2022年10月1日 18時) (レス) id: 31d1894405 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おさと | 作成日時:2022年9月24日 20時