・ ページ23
Side宮近
ゴロゴロと腹に響く雷の音を聞いた瞬間、足がすくんだ。ただでさえ音の響く浴室に入り込む雷鳴。嫌な予感はあったけど、本当に来るなんて最悪だ。
俺の頭の奥では、小学生の頃見た稲妻がちらつき始めていた。
あの夜、どうして1人で留守番していたのかはよく覚えていない。でも、たしかに家にいたのは俺1人で、雷が鳴り始めたとき俺は運悪く風呂の中にいた。
雷の音は、どんどん大きくなる。半べそをかきながら風呂を出ようとした時、目の前が急にまぶしくなってものすごい音と振動に包まれた。
近くに雷が落ちたんだ、と子供でも分かった。それくらい衝撃はすごくて、家中の電気がすぐに消えてしまった。
浴室に響く雷の音に、サイレンの音が混ざりだす。こわい、こわいと泣きじゃくる俺の目に映ったのは、真っ黒な空で青っぽく光る鋭い稲妻だった。
宮「…っやだ、こわいよ、だれかっ、!」
あの時と同じ、自分のところにも雷が落ちるんじゃないかって恐怖が足元からせりあがってきて、肺まで締め付けられる。
こわい、くるしい、たすけて、だれか、だれか…………
「海斗、大丈夫だから。」
耳になじんだ声がして、体がお湯とは違う温もりに包まれる。
ああ、俺は今相当みっともないところを見られてるな、とうっすら思うけれど、冷静な思考は雷のせいで3秒ともたない。
宮「かい、と、ハァハァ、こわ、いっ…」
海「だいじょぶだって、俺いんじゃん。」
恥ずかしい、なんて感覚も酸素の足りない頭には出てこない。いつもよりは数倍頼もしく聞こえる声に、俺は夢中ですがり付いていた。
445人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おさと(プロフ) - ましろさん» ましろ様、こんばんは!なんて嬉しいお言葉…!本当に、本当にありがとうございます😭相変わらずダメダメな作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします。 (2022年10月9日 18時) (レス) id: d4db3ebcdb (このIDを非表示/違反報告)
ましろ - おさと様、本当に本当にありがとうございます!とってもとっても素敵です😭拙いリクをこんなにも素晴らしいお話にしていただけて感無量です...おさと様と出会えて作品を読ませていただけて幸せです...これからも作品を本当に楽しみにしています!大好きです!! (2022年10月8日 21時) (レス) @page25 id: 7d488f5410 (このIDを非表示/違反報告)
おさと(プロフ) - ぺえさん» ぺえ様、今回も素敵なリクエストをありがとうございました!いつもコメントありがとうございます。本当に励みになります😭よければぜひ、今後もお付き合いいただければ嬉しいです! (2022年10月5日 22時) (レス) id: 31d1894405 (このIDを非表示/違反報告)
ぺえ(プロフ) - リクエスト書いていただきありがとうございました!!おさと様の作品ほんとに大好きなので、これからも更新楽しみにしてます! (2022年10月4日 21時) (レス) @page24 id: 8c7e5fe0be (このIDを非表示/違反報告)
おさと(プロフ) - 〇〇さん» ○○様、コメントありがとうございます!嬉しすぎて、リアルに泣いてます😭良い実習となるよう、また目標のご職業に就けるよう心から応援しております!どうかお体に気をつけて頑張ってください!! (2022年10月1日 18時) (レス) id: 31d1894405 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:おさと | 作成日時:2022年9月24日 20時