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Side松倉
車の窓から、いつもの帰り道をぼんやり眺める。
倉「……パパに送ってもらわなきゃ学校にも行けないのにさ、修学旅行なんか行けるわけないじゃん。」
独り言みたいな俺の声に、パパは悲しそうに下を向いた。パパの細い指が、コツコツとハンドルをたたく。
如「…でも、海斗が行かなきゃ元太くんも行かないって言ってるんでしょ?」
パパの言葉に、今度は俺が下を向く番だ。
正直、元太のことは予想してなかった。元太は俺の幼馴染でたしかにクラスでも一番の仲良しだけど、まさか「まつくが行かないなら、俺も行かない!」なんて言われちゃうなんて…。
結局俺は何を言ったらいいのかわからなくて、それからは俺もパパも一言もしゃべらなかった。
家に着いたら、いつも通りママの写真に「ただいま」を言って、トイレに行く。小っちゃい頃から俺は脊髄の病気で歩けないし、トイレに行きたいかどうかも自分じゃよくわからない。
だから、何時にトイレに行くかとかはちゃんと決めるようにしてる。恥ずかしいけど、1人でトイレに行けるようになったのも最近になってからだ。
如「海斗。今日の晩御飯、シチューでいい?」
トイレを済ませて手を洗っていたら、パパが後ろから声をかけてきた。うん、と頷けば、パパが小さく笑う。
パパは、料理が上手だ。ママは僕が赤ちゃんの頃に死んじゃったから、料理も掃除も洗濯も、俺のことだって全部パパがやってくれてる。
俺、知ってるんだよ。
障害があって体も丈夫じゃない俺のせいで、パパが仕事をたくさん休まなきゃいけなかったこと。
1人でなんでも頑張って、たくさん、たくさん無理していること。
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おさと(プロフ) - ましろさん» ましろ様、こんばんは!なんて嬉しいお言葉…!本当に、本当にありがとうございます😭相変わらずダメダメな作者ですが、今後ともよろしくお願いいたします。 (2022年10月9日 18時) (レス) id: d4db3ebcdb (このIDを非表示/違反報告)
ましろ - おさと様、本当に本当にありがとうございます!とってもとっても素敵です😭拙いリクをこんなにも素晴らしいお話にしていただけて感無量です...おさと様と出会えて作品を読ませていただけて幸せです...これからも作品を本当に楽しみにしています!大好きです!! (2022年10月8日 21時) (レス) @page25 id: 7d488f5410 (このIDを非表示/違反報告)
おさと(プロフ) - ぺえさん» ぺえ様、今回も素敵なリクエストをありがとうございました!いつもコメントありがとうございます。本当に励みになります😭よければぜひ、今後もお付き合いいただければ嬉しいです! (2022年10月5日 22時) (レス) id: 31d1894405 (このIDを非表示/違反報告)
ぺえ(プロフ) - リクエスト書いていただきありがとうございました!!おさと様の作品ほんとに大好きなので、これからも更新楽しみにしてます! (2022年10月4日 21時) (レス) @page24 id: 8c7e5fe0be (このIDを非表示/違反報告)
おさと(プロフ) - 〇〇さん» ○○様、コメントありがとうございます!嬉しすぎて、リアルに泣いてます😭良い実習となるよう、また目標のご職業に就けるよう心から応援しております!どうかお体に気をつけて頑張ってください!! (2022年10月1日 18時) (レス) id: 31d1894405 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:おさと | 作成日時:2022年9月24日 20時