#17 ページ17
「今の聞きました?与謝野女医」
「アンタが煽るからだろ…」
クスクスと笑う男に女医さんは呆れ顔。
どうやら中原さんとは顔見知り…?
戦慄としているのは私だけ?
「本題に戻ろうか。私は太宰治。此処の武装探偵社の社員だよ」
『柳原Aです』
包帯の男は女医が座っていた椅子に座り、私と向き合う形に。
「さぁ腕を捲くってくれるかな…おっ…と……これはこれは…」
『本当に治るんですか…?』
先程まで患者だった人に診せても治せるわけがないだろう。彼に疑いの眼差しを向ける。
彼は人の良さそうな微笑みをして、
「大丈夫。腕、触るよ」
包帯だらけの手が腕に触れた。
その瞬間、青白い光が仄かに腕を包み込む。
訪れたのは激痛ではなく手の感触であった。
『痛く…無い…?!それに…変色も…治って…』
「ふふふ…吃驚するだろう?此れが私の能力、異能無効化だよ」
太宰さんは異能を無効化する異能を持っていたのだ。
お陰で私が受けていた激痛の異能も無効化されたというわけだ。
ありがとうございます、ありがとうございますと何度も頭を下げて礼を述べる。
これで明日の出勤は出来そうだ。
『なんてお礼したらいいのか…』
「お礼?なら、代わりにさ」
___ 中原中也との出会い、教えてよ。
で、出会い…?
男の意外な言葉に目を丸めて瞬きをする。
そんなことでいいのだろうか?
『出会い…といっても……__』
.
.
「あっはっはっは!!待って、呼吸が出来な…い!あっはは!」
「っ、煩いよ太宰」
「だって、だって、!ひー…っ、与謝野女医…!あのチビとの出会いが、吐き気だなんて…!っ」
傑作だ。もう腹壊れる。死ぬ。
涙を流しながら腹を抱えて笑う太宰さん。
しかも女医まで笑っている。
外にいる彼の耳にまで聞こえなければいいが…。
其処まで笑う事…??
『出会いは彼が吐き気を催していた所です』と伝えただけなのに。
まぁ確かに傍から見れば、
笑えるかもしれないがツボる程では無い。
恐らく彼のツボが浅いだけだろう。
「君、気に入ったよっ、ふふっ」
やっと落ち着いてきた彼から手渡された紙を見る。
『これは…名刺…?』
「取り扱いに困ったら私に連絡してよ」
太宰さんの名前と共に、本人と武装探偵社の電話番号が書かれた名刺だった。
339人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
落蕾 - わたあめさん» えっ!!そうだったんですか!!?白氷様の作品、めっちゃ面白くて、大好きです!!!更新頑張って下さい!!! (7月24日 23時) (レス) @page19 id: 32354343cf (このIDを非表示/違反報告)
こむぎこ - 文の書き方好きです、これからもほどほどに頑張ってください、! (2023年2月8日 2時) (レス) @page12 id: 3738396828 (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 「女だなんて聞いてない。」も、「双黒の育て方。」も大好きだったんですけど、同じ作者さんだったんですね!話の進め方とか表現とか大好きです!最高に面白いにちがいない…。頑張ってください! (2023年1月25日 17時) (レス) id: e7e522b22e (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - 新作おめでとうございます!陰ながら応援しております! (2023年1月24日 22時) (レス) id: b0ccef1124 (このIDを非表示/違反報告)
水瀬琥雪 - え…夢主ちゃん…???口つけたペットボトル???関節キスではないですか…!!え、え??あ、面白かったです!!更新頑張ってください!! (2023年1月24日 20時) (レス) @page3 id: 27e17eb645 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:白氷 | 作成日時:2023年1月24日 0時